欧州委員会(EC)は、2026年1月27日、EUとインドが画期的な自由貿易協定を締結したことを発表した1)。この新たな貿易協定により、医薬品を含む供給網の統合と関税撤廃を通じて、地政学リスク下での産業競争力と研究・人材連携を強化することとなる。
ニュースを報じたEuropean Pharmaceutical Review1月29日記事によると、本協定の大きな特徴は、医薬品に最大11%課されていた関税を含め、インドがEU向けにほぼ全面的な関税撤廃を認めた点であるとする。これはインドが他国に対して提供していない特例的な条件であり、欧州委員会によれば、EU製品に対する関税削減効果は年間約40億ユーロに上る。
von der Leyen欧州委員会委員長は、これに加えて、EUの旗艦研究・イノベーションプログラムであるHorizon Europeへのインドの参加に向けた協議を開始すると表明し、研究開発面での連携深化も示唆した。
また、両者は人材不足への対応として、技能労働者、若手専門職、季節労働者の移動を促進する協力枠組みを盛り込んだ。これは医薬品産業を含む人材不足分野への実務的な対応策と位置付けられる。
本協定は、EUが最近締結した中南米諸国との大規模自由貿易協定に続くものであり、EUの通商戦略が地域横断的に拡張していることを示している。一方で、英国製薬工業協会(Association of the British Pharmaceutical Industry:ABPI)は、過去のEU・インド合意において知的財産(IP)保護が十分に議論されていない点を懸念していたが、欧州委員会は現在、投資保護協定についても交渉を継続中であると説明している。
今後、交渉済みの条文案は公表され、EU理事会での採択後、EUとインドによる署名、さらに関係当局の承認を経て、協定は正式に発効する見通しであるとする。
(中国のカントリーリスク低減についても、インド・欧州に先を越された。)
ニュースソース
- European Commission: EU and India conclude landmark Free Trade Agreement.
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_26_184 - European Pharmaceutical Review: Pharma benefits in EU-India Free Trade Agreement.
https://www.europeanpharmaceuticalreview.com/news/270743/pharmaceutical-industry-europe-india-free-trade-agreement/?f24_pid=2f657893-e077-4f5f-9e44-d288d2862aeb&utm_campaign=EPR%20-%20Newsletter%20-%20Shimadzu%20-%202.2.2026&utm_source=force24&utm_medium=email&utm_content=textlink