2025年6月24日、スペイン医薬品・健康食品庁(La Agencia Española de Medicamentos y Productos Sanitarios :AEMPS)から発表された「2025-2030年におけるヒト用医薬品の供給保証計画」の概要は以下の通り。
【注目記事】スペイン当局は医薬品サプライチェーン強化を目的とした「供給保証計画2025-2030」を発表
1. 現状
2019年にスペイン医薬品・医療製品庁(AEMPS)が最初の計画を発表して以来、医薬品不足は国内外で重要課題として認識されている。COVID-19以降、欧州連合(EU)では多数の国際的な枠組みや法制度(例:EU規則2022/123、欧州医薬品戦略)を整備し、供給問題への対策が進められてきた。AEMPSも欧州の議論に積極的に関与しており、本計画はこれらの欧州政策をスペイン国内で具体化するものである。
2. 医療への影響に基づく供給問題の分類
供給問題の影響度を4段階に分類:
影響なし:短期間で供給が回復し、流通在庫で対応可能。
小:同一有効成分・投与経路の代替品があり薬剤師が対応可能。
中:代替品はあるが、医師の処方変更が必要。
大:代替なし。例外的な販売、外国薬の輸入などが必要。
3. 目的
以下の3つを主目的とし、加えて国際連携を横断的目標とする:
供給問題の予防
供給問題の管理
供給問題に関する情報提供
国際連携とステークホルダーの関与
4. 行動計画(Plan de acción)
4-1. 供給問題の予防
規制強化:不足対策計画の義務化、マルチリンガル表示の導入、包装形式の効率化を推進。
戦略的医薬品の確保:供給継続が不可欠な医薬品をリスト化し、承認手続きの迅速化、支援策、国内生産促進策を導入。
市場監視:市場流通製品の品質検査を強化。
制裁強化:供給義務違反への法的枠組みを見直し、抑止力を強化。
法制度の整備:特別な状況での製剤や商業的価値の低い薬への支援を含む法整備を進める。
5. 供給問題の管理
5-1. 早期発見
TAC(販売承認保持者)に対する早期通知義務の明確化。
病院薬局、自治体、流通業者との連携強化。
EUの監視プラットフォームとの情報連携。
5-2. 管理ツールの強化
規制データベースやダッシュボードの充実。
EU安全装置システムを活用したモニタリング手法の確立。
5-3. 代替療法の確保
他社製品の利用、例外的製造・輸入、処方代替、製剤の変更を円滑に行うためのガイドライン策定。
公費未収載薬の代替使用も、患者への事前説明を条件に容認。
外国薬の入手手続きの見直し、配布体制の迅速化。
戦略的備蓄の構築に参加。
6. 供給問題に関する情報提供
AEMPSウェブサイト:供給問題のリアルタイム更新、FAQ、代替薬の提案、患者・専門家向けの情報を継続的に充実。
情報システムとの統合:処方・調剤システムとの連携強化。自治体・医療機関・薬剤師会等と接続。
情報伝達の最適化:問題の深刻度や関係者に応じて、最適な形式・媒体・タイミングで情報を提供。
ステークホルダー会議:定期的に患者・専門職団体と情報共有を行う新たな委員会を設置予定。
7. 横断的原則と連携
EUとの協調:EMAやHMAとの積極的な連携、医薬品不足の共通定義の採用、Critical Medicines Actとの整合を図る。
国内の連携:AEMPSと各自治州の調整グループを設置し、市場監視や調剤支援に対応。
関係者の統合:患者団体、医師会、産業界、流通業者、厚労省、国防省など全関係者を巻き込み、計画実行にあたる。
8. 計画のモニタリングと評価
指標の定期更新と供給問題の半期分析を通じ、トレンドの把握と対策の見直しを図る。
ステークホルダーとの対話を継続し、柔軟な改善を実施する。