2025年7月10日公開レポート。ホームページによる結果の要約。
- 2013年から2024年第1四半期までの間に、承認されたジェネリック医薬品の37%が発売されておらず、ジェネリック医薬品の70%が市場に到達するまでに4年以上かかる場合が多い。
- 現在不足している医薬品のうち、62%には承認済みのジェネリック医薬品があるが、これらの84%には少なくとも1つの未発売製品があり、21%にはジェネリック医薬品がまったく発売されていない。
- 注射剤は特に影響が大きく、医薬品不足の75%が未発売のジェネリック医薬品を含む形態となっている。
- 企業規模も発売行動に影響を与えている。2013年以降に承認されたジェネリック医薬品の過半数を占める小規模ジェネリック企業(年間グローバル売上高$500Mn未満)は、大規模または中規模企業よりもジェネリック医薬品を発売する可能性が高い。小規模ジェネリック企業($500Mn未満)は、承認されたジェネリック医薬品を発売することで、医薬品不足に積極的に対応している。
レポートにおける不足の要因または不足を長期化させる要因
- 製造の複雑さ:無菌注射剤は、有効性と無菌性の確保が求められるため、製造工程が高度に専門的かつ複雑である。その結果、設備の設置や維持に長いリードタイムを要し、製造遅延や供給不足の長期化を招く要因となっている。こうした製造上の困難さは、注射剤が特に長期的かつ頻発する医薬品不足に脆弱である理由を説明している。
- 市場と価格の動向:ジェネリック注射剤市場は、需要および利益率の低さから市場規模が小さく、参入者が限定される一方で、撤退率が高い傾向にある。価格低下と利益率の低下は、主にASP(平均販売価格)に基づく価格設定モデルによって引き起こされており、これは持続的な価格圧力を生む構造である。IQVIAの報告によれば、不足している医薬品の多く(56%)が1単位あたり1ドル未満であり、価格の低さが不足と関連しているとされる。
ジェネリック医薬品市場は、競争によって価格が引き下げられ、製造業者の利益率や市場の持続可能性が損なわれる構造にある。特に製造の複雑さや参入者の少なさから、1社が撤退した場合、残る業者では需要に応じきれず、供給不足がさらに深刻化する可能性がある。 - 経済動向とサプライチェーン:価格圧力によりジェネリック医薬品価格が極端に低くなると、製造・流通・購入における冗長性や回復力を担保するためのインセンティブが働かなくなる。これにより、医薬品サプライチェーンは脆弱性を増し、混乱からの回復が遅れ、不足の影響が長引く結果を招く恐れがある。
- 企業の商業的撤退:製造の複雑さおよび市場における競争の欠如により、既存の製造業者のうち1社が撤退した場合、残る企業のみでは市場の需要を満たすことが困難となり、供給不足がさらに深刻化する恐れがある。既に承認を取得しているが未発売のジェネリック医薬品を保有する新規製造業者が、供給不足の状況において市場に参入することは、有効な対策となり得る。しかしながら、これらの製造業者が実際に市場に迅速に参入し、供給を回復させる能力については、十分な理解が得られておらず、今後の詳細な分析が求められる。
ニュースソース
IQVIA: Trends in Drug Shortages and ANDA Approvals in the U.S. – How do we address barriers to improve drug availability?
https://www.iqvia.com/insights/the-iqvia-institute/reports-and-publications/reports/trends-in-drug-shortages-and-anda-approvals-in-the-us
2025年7月16日