Health Affairs Forefront、2026年3月20日記事。最恵国価格政策(Most Favored Nation:MFN)は米国薬価を下げ得るが、グローバル市場やイノベーションに大きな影響を及ぼす可能性があるとする。
本稿は、トランプ政権が推進する最恵国価格政策(Most Favored Nation:MFN)の仕組みと影響を整理したものである。MFNは、米国の医薬品価格を欧州、日本などの先進国と同水準に引き下げることを目的とし、メディケア・メディケイド向けの新たな支払モデル(例:GENEROUS、GLOBE、GUARD)や直接購入プラットフォーム(TrumpRx)を通じて実装が検討されている。
背景として、米国のブランド薬価格は他国の少なくとも3倍とされ、その差は中央交渉制度の有無や支払意思、供給構造の違いなど複合要因によると指摘される。一方で、MFNはこうした構造要因ではなく「価格差そのもの」を是正する政策である。
短期的には、米国内で実際に価格低下が広く波及するかが不確実であり、特に民間保険(雇用主提供保険)や州メディケイドの参加状況が大きな制約となる。また、メーカーと州の参加が相互依存する「鶏と卵」問題も存在する。
中長期的には、グローバル市場への波及効果が重要である。企業は米国価格維持のために欧州価格を引き上げたり、低価格国への上市を遅延・回避する可能性がある。これにより、欧州などでの新薬アクセス低下や、医薬品開発投資の縮小といった影響も懸念される。
総じて、MFN政策は米国薬価問題への直接的な介入であるが、その効果は不確実であり、価格低下と引き換えにイノベーションや国際アクセスに影響を及ぼす可能性を含む点が重要であるとする。
ニュースソース
Laura Tollen: Signs Of ‘Most Favored Nation’ Impact: What Experts Are Looking For.
Health Affairs Forefront, March 20, 2026, 10.1377/forefront.20260319.641801(オープンアクセス)