【論文】医薬品・医療機器複合製品に対するシステム工学に基づくアプローチ

RAPS Journal of Regulatory Affairs、2026年3月6日公開論文。ドラッグ・デバイス複合製品(drug-device combination products)の開発において、従来の規制準拠中心のアプローチではなく、安全性・有効性をシステム全体の性質として捉える「第一原理(first principles)」に基づく考え方の重要性を提示している。

現行の規制は医薬品と機器で分断されており、その結果、設計管理の形式化やリスク管理の分断などにより、開発遅延や安全性評価の不備が生じているとする。

主な課題は、①文書中心で本質を欠く設計管理、②薬剤とデバイスを別個に扱う非統合的な開発体制である。これにより、ユーザーニーズの軽視、仕様の不適切適用、実使用環境を反映しない評価、薬剤とデバイスの相互作用の見落としなどが発生する。

これに対し、著者は、使用目的(intended use)とユーザーニーズを起点に、設計・リスク・製造を一体化するシステム思考を提案する。安全性と有効性は文書ではなく、使用環境との相互作用から生じるものであり、リスク管理も性能と不可分に統合されるべきとされる。

さらに、開発全体を通じたトレーサビリティ、リスクベース意思決定、構造化された正当化(justification)と保証(assurance case)の構築が重要とされる。これにより、規制当局に対しても、単なるデータ提示ではなく「なぜ安全で有効か」を論理的に説明可能となる。加えて、データ統合・可視化・デジタルツールの活用により、設計・リスク・品質情報を連結し、ライフサイクル全体での一貫した安全性保証を実現する必要がある。

結論として、複合製品開発は「規制対応」ではなく「システム工学」に基づくべきであり、第一原理に立脚した統合的アプローチへの転換が、今後の高度医療製品の開発と規制対応の鍵となるとする。

 

ニュースソース

Fubin Wu, et al. : Engineering safety and effectiveness: A first-principles approach to drug-device combination products.  RAPS Journal of Regulatory Affairs. 2026;1(2):31-47. Published online 6 March 2026. https://www.raps.org/news-and-articles/News-Articles/2026/3/Engineering-safety-and-effectiveness-A-first-princ

 

2026年3月20日
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