米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)は、2026年3月9日、生物製剤価格競争・イノベーション法(Biologics Price Competition and Innovation Act:BPCIA)に関連し、バイオシミラー開発における薬物動態試験の要件を緩和する新たなガイダンス1,2)を公表し、分析データ中心の開発を促進する方針を示した。この方針についてFDA長官のMartin A. MakaryがJAMAに論考を投稿している3)。
FDAの改革の第一は、バイオシミラー開発で従来求められてきた比較有効性試験(Comparative Efficacy Studies:CES)の要件を見直すことである。バイオシミラー開発には通常5~8年、1億~3億ドルの費用が必要とされ、その大きな要因がCESであった。新たな指針では、分析比較データ、薬物動態(pharmacokinetics:PK)データ、免疫原性(immunogenicity)評価で十分に同等性を示せる場合にはCESを不要とする可能性を示し、最大で1億5,000万ドルの開発コスト削減と2~4年の開発期間短縮が期待されている。
第二の改革は、PK試験に関する要件の簡素化である。2026年3月のドラフトガイダンスでは、非米国製品を比較対照として用いる場合に従来必要とされていた3群PK試験(バイオシミラー、米国先行品、海外対照品)を必須としない方針が示された。さらに、米国先行品との直接比較PK試験も必須ではなくなる可能性があり、これによりPK試験費用を最大50%削減できるとされている。
これらの改革は、バイオシミラー市場参入の主な障壁である高い開発コストと複雑な規制要件を緩和することを目的としている。臨床試験やPK試験の負担を軽減することでバイオシミラー開発の実現可能性を高め、企業参入を促進し、競争を通じて医薬品価格の低下と患者アクセスの改善を図るとともに、安全性基準を維持しながら医療費負担の軽減を目指すとしている。
💬:バイオシミラー開発コスト高騰によるバイオシミラー空白地帯(biosimilar Void)が懸念される中、米欧では開発のスリム化が進んでいる。しかし、日本での議論は遅々として進まない。厚労省、国衛研、PMDAの思考停止が大問題。
ニュースソース
- Food and Drug Administration: New and Revised Draft Q&As on Biosimilar Development and the BPCI Act (Revision 4).
https://www.fda.gov/regulatory-information/search-fda-guidance-documents/new-and-revised-draft-qas-biosimilar-development-and-bpci-act-revision-4 - Food and Drug Administration: Questions and Answers on Biosimilar Development and the BPCI Act.
https://www.fda.gov/regulatory-information/search-fda-guidance-documents/questions-and-answers-biosimilar-development-and-bpci-act - Martin A. Makary (US Food and Drug Administration, Silver Spring, Maryland), et al. : FDA’s Regulatory Reforms to Unlock Competition and Lower Drug Costs – Breaking the Biosimilar Bottleneck.
JAMA, Published Online: March 9, 2026, doi: 10.1001/jama.2026.3088 https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2846432