世界初のiPS由来肝細胞治療が条件付き承認-リスクの高い「規制実験」とする見方も

厚生労働省薬事審議会再生医療等製品・生物由来技術部会は、2026年2月19日、2つのiPS細胞由来の再生医療製品を7年間の条件・期限付きで承認することを了承した。

1つめは、クオリプス社のヒト(同種)iPS細胞由来心筋細胞シート「リハート」で、虚血性心筋症による重症心不全に対し、心臓に貼り付けて血管新生を促す。もう一つが住友ファーマ社の非自己iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞「アムシェプリ」で、脳内でドパミンを産生する神経細胞を補うことで、既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病治療に用いられる。

日本の再生医療等製品に対する薬事承認制度に批判的な立場をとるNature誌は、2月23日付の記事において、この承認判断に対する懸念を示した。記事では、日本国内外の研究者のコメントを引用しつつ、条件・期限付き承認であっても有効性および安全性に関する不確実性が大きいこと、さらに公的医療保険での給付対象とすることの妥当性についても疑義があると指摘している。

(💬:条件・期限付き承認のもとで本承認に至らなかったテルモの「ハートシート」の事例からも、再生医療等製品における有効性評価の難しさは依然として残っている。今後は保険償還価格の議論へと移るが、厚労省および中医協が、過去の経験からどの程度学習しているのかが改めて問われることになる。)

(関連記事:幹細胞治療に寄せる期待と懸念 ― Nature誌が示す幹細胞医療の現在地

 

ニュースソース

Asher Mullard: First-of-a-kind stem-cell therapies set for approval in Japan.
Nature, doi: https://doi.org/10.1038/d41586-026-00585-x

 

2026年2月26日
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