STAT、2026年2月24日記事。クローン病や潰瘍性大腸炎といった炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD)において、既存薬と新規薬を組み合わせる「併用療法(コンビネーション療法)」が、治療効果の限界を突破する可能性を検討する論説記事。
IBDは消化管の慢性炎症を特徴とし、症状や病態が患者ごとに大きく異なるため、治療選択は依然として試行錯誤に依存している。現在利用可能な生物学的製剤や低分子薬が複数存在するものの、寛解に到達する患者は全体の約3割にとどまり、「決定打」となる薬剤はまだ存在しない。
こうした中、Johnson & Johnson:J&Jが2022年に報告したVEGA試験では、潰瘍性大腸炎患者においてTremfyaとSimponiの併用で約半数が寛解に到達し、単剤治療を大きく上回る成績を示した。この結果を契機に、併用療法への関心が急速に高まり、J&Jの後続DUET試験(第2b相)の結果が分野全体の行方を左右すると注目されている。
AbbVieはIL-23阻害薬Skyriziを軸に、異なる炎症経路を標的とする新薬との併用試験をクローン病で進めており、年内にデータ公表を予定している。一方、Eli Lillyは、IL-23薬Omvohと、α4β7インテグリンを標的とする新規薬(MORF-057)との併用を検討しており、相加的・相乗的効果に期待を寄せている。ただし、単剤として十分な有効性を示せなかった薬剤を併用に組み込む戦略については、「手持ち資産の寄せ集め」に過ぎないとの批判も存在する。
臨床現場では、併用療法が真に価値を持つためには、どの患者にどの免疫経路が支配的かを見極めるバイオマーカーや診断技術の確立が不可欠と認識されている。記事では、IBD治療が「併用療法+精密医療(プレシジョン・メディシン)」へと進化する分岐点にあり、今後数本の臨床試験結果が標準治療を大きく塗り替える可能性を示しているとする。
(💬:がん治療で起きているバイオ医薬品の併用による医療費増。IBD領域でも、バイオシミラー使用促進の重要性が高まる。)
ニュースソース
STAT:New treatment approach could give IBD patients hope, and be a bonanza for drugmakers.
https://www.statnews.com/2026/02/24/ibd-combination-therapy-race-abbvie-lilly-pfizer-merck-jnj/?utm_campaign=daily_recap&utm_medium=email&_hsenc=p2ANqtz–L16GAcrB7ET7polbOTkozewvY7vKwcwuFEp7_386sff_SHDFySkfti3GMD2hY_99BGvzt2FbyIokrIkUmXpEwjdWIOYI4VwMcJPHRi35mJtardpo&_hsmi=405378233&utm_content=405378233&utm_source=hs_email(サブスクリプション)