【論文】多発性硬化症疾患修飾療法の定価および正味価格の推移

2013~2021年における多発性硬化症治療薬の価格動向を、名目価格(リスト価格)と実質価格(ネット価格)に分けて分析した研究。経口薬と抗体医薬で、値引き構造と実質的な価格上昇に大きな違いがあることを示したもの。
研究は、多発性硬化症(Multiple Sclerosis:MS)の疾患修飾薬(Disease-Modifying Therapies:DMT)について、ブランド薬のリスト価格とリベート・ディスカウント後のネット価格の変化を比較した。2013~2021年にかけて、経口DMTのリスト価格は年平均5.3%で上昇した一方、ネット価格の上昇率は年1.5%にとどまった。これはメーカー割引率が6.4%から21.2%へと大幅に拡大したためである。

一方、モノクローナル抗体(Monoclonal Antibody:MAb)DMTでは、リスト価格が年4.1%、ネット価格も年3.0%と比較的近いペースで上昇した。抗体DMTでは割引がリスト価格上昇の0~35%しか相殺しておらず、経口DMT(51~86%相殺)との差が顕著であった。この違いは、経口DMTでは後発医薬品やブランド間競争が進んだ一方、抗体DMTではバイオシミラー(Biosimilar)が存在しないことを反映していると考えられる。

結果として、同じMS治療薬でも、剤形と競争環境の違いが実質的な薬剤費負担に大きく影響していることが明らかとなった。

 

ニュースソース

Daniel M Hartung (Pharmacy Practice, Oregon State University), et al. : Changes in List and Net Prices for Multiple Sclerosis Disease-Modifying Therapy, 2013 to 2021.
Neurol Clin Pract. 2026 Apr;16(2):e200597. doi: 10.1212/CPJ.0000000000200597. Epub 2026 Feb 16.
DOI: 10.1212/CPJ.0000000000200597(抄録のみ)

2026年2月24日
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