【論説】AIが薬を発見したら、そのお金は誰が手に入れるのか?

 

ScienceInsider、2026年2月17日記事。AI創薬が現実味を帯びる中で、特許上の「発明者」は誰か、AIの関与をどう位置づけるかが、今後の創薬ビジネスと知財戦略の核心になっているとする。記事は、Fenwick & West法律事務所の知的財産(intellectual property:IP)弁護士、Fredrick Tsang and Antonia Sequeira両氏へのインタビュー形式となっている。

創薬は成功確率が極めて低い分野であるが、人工知能(Artificial Intelligence:AI)は分子探索や失敗の早期予測を通じ、開発効率を大きく改善する可能性を示している。

米国では、Thaler v. Vidal(2022年)判決によりAIは特許上の発明者になれないとされ、現在も基本的に「人間のみ」が発明者と認められる枠組みは変わっていない。米国特許商標庁(US Patent and Trademark Office:USPTO)の新ガイダンスでは、AIは「研究・分析ツール」と位置づけられ、最終的な発明性は人間の寄与に依存すると整理されている。ただし、AIの関与を過度に強調すると、後の特許訴訟で「人間の発明性が不十分」と主張されるリスクがあり、研究記録や広報表現には注意が必要である。

AI企業が創薬成果の権利を主張できるケースは限定的で、利益配分は多くの場合、製薬企業とAI企業の契約(SaaS契約や権利帰属条項)によって決まる。将来、AI活用は創薬の前提条件となる可能性が高く、早期に知的財産の帰属ルールと契約設計を明確化することが、投資促進と患者利益につながると指摘している。

 

ニュースソース

Celina Zhao: If AI discovers a drug, who gets the money?
ScienceInsider, doi: 10.1126/science.zr0oakm

2026年2月20日
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