沖縄科学技術大学院大学(OIST)学長退任で成長軌道に暗雲

Science、2026年2月9日記事。日本の国際研究大学モデルとして創設された沖縄科学技術大学院大学(Okinawa Institute of Science and Technology:OIST)が、資金確保と学内対立の課題の中で学長交代を迎え、将来の拡大計画が再び岐路に立たされているとする。

OISTは、政治家・尾身幸次の構想のもと、ノーベル賞受賞者Sydney Brennerらが設計に関与し、2012年に開学した。学部制を持たない学際型大学院大学として英語運営を徹底し、日本の大学改革の象徴的存在とされた。初代学長にはJonathan Dorfan元SLAC国立加速器研究所(SLAC National Accelerator Laboratory)所長が就任し、世界中から研究者を集めた。

研究面では成功を収め、2019年のNature Indexでは論文数を規模補正した指標で世界トップ10に入った。しかし、当初想定された「300名の主任研究者(principal investigators:PI)」体制に必要な予算は確保できず、現在の年間予算約230億円では約100名規模が限界で、実際のPI数は96名にとどまる。

2023年に就任した学長Karin Markidesは「高成長から安定成長への転換」を担ったが、戦略不透明との批判が教員側から出され、関係は悪化。2026年2月、任期途中で退任し、国際関係担当の外部顧問的役割に移ることが発表された。

後任決定までの暫定学長には、ワイツマン科学研究所(Weizmann Institute of Science)元学長Daniel Zajfmanが就任する。

一方、日本の内閣府は2025年に外部レビューを実施し、2045年までに200PIへ拡大する計画を検討中である。年内に提言が示される予定であり、新学長の下で再び成長軌道に乗せられるかが焦点となっている。

(米国サイエンスにまで取り上げられているが、日本の基礎研究力低下の構造的問題の象徴と感ずる。)

 

ニュースソース

Science: Leader’s departure marks latest setback for ambitious Japanese science university. (9 Feb 2026, By Dennis Normile)
doi: 10.1126/science.zksb5bm

2026年2月11日
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