Future Healthc J. 2025年12月15日掲載論文。リウマチ学は、免疫抑制中心の治療から分子層別化・細胞治療・デジタル医療へと進化し、2050年に向けて「精密・予防・公平性」を軸に再定義されつつあることを描いた将来展望レビュー。過去25年間で劇的な進化を遂げたリウマチ学(rheumatology)が、2050年に向けてどのように変貌するかを多角的に整理している。
リウマチ治療は、かつての広範な免疫抑制から、精密医療(precision medicine)へと移行しつつあり、今後は単一サイトカイン標的を超えて、血清学・ゲノミクス・滑膜病理(synovial pathotyping)を統合した分子レベルの患者層別化が中心になるとされる。
ゲノム研究では、全エクソーム解析(whole-exome sequencing)により、VEXAS症候群(空胞・E1酵素・X連鎖・自己炎症性・体細胞性:Vacuoles, E1 enzyme, X-linked, autoinflammatory, somatic syndrome)のような新規疾患概念が同定された。さらに、自己免疫疾患の発症前段階に介入する疾患予防・インターセプション(disease interception)も現実味を帯びており、アバタセプト(abatacept)による関節リウマチ発症リスク低下が示されている。
治療面では、キメラ抗原受容体T細胞療法(CAR-T:Chimeric Antigen Receptor T-cell therapy)が全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus)で完全寛解を達成するなど、治癒を目指す細胞治療が登場している一方、免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitors)に伴うリウマチ性副作用という新たな診断課題も浮上している。
環境要因としては、大気汚染や職業曝露が疾患ドライバーとして再評価され、医療提供体制の面では、英国においても国民皆保険下で先進治療へのアクセス格差が存在することが示されている。今後は人工知能(AI:Artificial Intelligence)による診断・モニタリングの高度化が進む一方、医療経済的制約からバイオシミラー(biosimilars)を活用した持続可能な資金モデルが不可欠となる。
総じて、2050年のリウマチ学は、分子層別化された疾患概念、より安価でアクセス可能な標的治療、治癒を目指す細胞療法、デジタル化された診療エコシステムによって特徴づけられるが、その成功は技術革新だけでなく、公平性・負担可能性・患者中心性をいかに守れるかにかかっていると結論づけている。
(最新医療技術からバイオシミラーまで多岐にわたり解説されている。)
ニュースソース
Mariam Omar (King’s College London, London), et al. : Rheumatology 2050: How our specialty is changing.
Future Healthc J. 2025 Dec 15;12(4):100485. DOI: 10.1016/j.fhj.2025.100485. eCollection 2025 Dec. (オープンアクセス)