次世代CAR-T療法は危険な副作用なしにがん細胞を破壊

Nature、2026年2月4日記事。従来のCAR-T療法と同等の抗がん効果を示しながら、免疫抑制という重大な副作用を回避できる可能性を持つ、新規CAR-T細胞(CART4-34)の前臨床研究を報告したもの

がん免疫療法として用いられるキメラ抗原受容体T細胞療法(CAR-T療法:Chimeric Antigen Receptor T-cell therapy)は、これまで主にCD19を標的としてきたが、正常B細胞も広範に破壊するため、重度の免疫抑制や感染症リスクが課題であった。本研究では、がん細胞に高頻度で発現し、正常B細胞では稀なIGHV4-34遺伝子を持つB細胞受容体に着目し、これを標的とする新たなCAR-T細胞「CART4-34」が開発された。

遺伝子改変マウスを用いたびまん性大細胞型B細胞リンパ腫モデルでは、CART4-34は従来のCD19 CAR-Tと同等にがん細胞を除去しつつ、正常B細胞を温存することが示された。これにより、免疫抑制を伴わないCAR-T療法の実現可能性が示唆された。この点について、クインズランド医療研究所(QIMR Berghofer Medical Research Institute)の研究者は、現行CAR-T療法の「治癒後に感染症が最大の脅威となる」という根本的問題を指摘している。

さらに本研究は、自己免疫疾患への応用可能性も示している。ペンシルベニア大学(University of Pennsylvania)の研究チームは、全身性エリテマトーデス患者由来細胞を用いた実験において、CART4-34がIGHV4-34陽性B細胞と関連自己抗体を選択的に除去し、健康なB細胞を保持することを確認した。一方、CD19 CAR-TではB細胞が非選択的に破壊された。

もっとも、IGHV4-34はすべてのリンパ腫や自己免疫疾患患者に発現しているわけではなく、治療対象となる患者は限定的である可能性がある。リンパ腫では最大約60%に発現が認められるとされるが、自己免疫疾患では複数のB細胞集団が関与する。研究チームは現在、がんまたは自己免疫疾患を対象とした第I相臨床試験を計画しており、将来的には疾患ごとに最適なB細胞受容体を選択するCAR-Tのポートフォリオ化を目指している。

 

ニュースソース

Rachel Fieldhouse: Innovative CAR-T therapy destroys cancer cells without dangerous side effects.
Nature, 04 February 2026, https://www.nature.com/articles/d41586-026-00358-6?utm_source=Live+Audience&utm_campaign=f247e46428-nature-briefing-daily-20260206&utm_medium=email&utm_term=0_-33f35e09ea-499009201

2026年2月10日
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