Health Affairs Forefront、2026年2月4日公開記事。米国における「最恵国(Most Favored Nation:MFN)薬価政策」の影響について、専門家の見解が大きく分かれていることを示した調査結果を整理したもの。
コーネル大学ヘルスポリシーセンター(Cornell Health Policy Center)が、同大学のヘルスポリシー・インサイト・パネル(62名)を対象に、2026年1月にMFN薬価政策の影響に関する意識調査を実施した。主な結果(論点別)は以下の通り。
薬価引き下げ効果
- 約50%の専門家は、MFN政策により米国のブランド薬の純薬価が大幅に下がると回答。
- 一方、約半数は「効果は不確実」または「大きな引き下げは起きない」と回答。
- 懸念点として、製薬企業が①参照国での価格引き上げ、②非公開リベートによる価格の不透明化、といった対応を取る可能性が指摘された。
患者アクセスへの影響
- 53%は、MFN政策がいずれの保険区分でもアクセス改善につながらない、もしくは不確実と回答。
- 改善が見込まれる可能性があるとされたのは主に無保険者だが、それでもMFN価格自体が依然として高すぎるとの指摘があった。
- Medicaidについては、もともと最低水準の価格が適用されているため、改善余地は小さいとの見方が支配的であった。
イノベーションへの影響
- MFN政策が米国患者に資する医薬品イノベーションを減少させると考える専門家は38%、28%は否定的、32%は不確実と回答。
- 米国市場が世界の製薬収益の大きな部分を占めるため影響はあり得るが、①収益減の規模、②どの製品が影響を受けるか、によって、研究開発投資への影響は限定的になる可能性も指摘された。
総括
以上から、MFN薬価政策は一見すると薬剤費抑制の有力な手段に見えるが、専門家の間では価格低下、患者アクセス改善、イノベーションへの影響のいずれについても評価が割れており、不確実性が極めて高い。製薬企業の戦略的対応により、想定された価格引き下げ効果が相殺される可能性も大きい。このため、政策立案者はMFN政策の単純な導入効果を過信せず、企業行動の変化や実際の患者自己負担、研究開発への波及を慎重に見極める必要があると結論づけられる。
ニュースソース
Pragya Kakani (assistant professor of health policy and economics at Weill Cornell Medical College), et al. : Experts Mixed On How Most-Favored-Nation Drug Pricing Would Affect Prices, Access, And Innovation.
Health Affairs Forefront, February 4, 2026, 10.1377/forefront.20260203.317549
(オープンアクセス)