N Engl J Med、2025年12月10日公開記事。高騰するGLP-1受容体作動薬の医療費問題に対し、ジェネリック化したliraglutideを活用することで、費用負担を抑えつつ治療アクセスを拡大できる可能性を論じた政策・経済分析。
GLP-1受容体作動薬は、糖尿病や肥満治療に大きな臨床的価値をもたらした一方、その価格の高さと対象患者数の多さにより、米国の医療費を急激に押し上げている。2018年以降、GLP-1関連支出は500%以上増加し、2023年には710億ドルに達した。支出増は保険料上昇や給付制限を招き、一部の州では肥満治療としてのGLP-1薬の公的保険給付が打ち切られる事態も生じている。
こうした中、トランプ政権は2025年にGLP-1メーカーと合意し、メディケアでの適用拡大と引き換えに価格引き下げを求めたが、民間保険への影響は限定的であり、財政圧迫は続くと見込まれる。一方、最初期のGLP-1薬であるリラグルチドは2024年に特許が切れ、ジェネリックが登場した。これにより、低コストでGLP-1治療を提供できる新たな選択肢が生まれた。
リラグルチドは、週1回投与でより高い効果を示すセマグルチドやチルゼパチドに比べ効果は劣るものの、血糖・体重・心血管リスク低減といった有効性と安全性は確立されている。ジェネリックの普及が進めば競争が促進され、価格低下→需要拡大→さらなる参入という好循環が生まれる可能性がある。現在は製造企業が少なく価格低下が限定的だが、利用拡大がその打開策となる。
著者らは、費用対効果の観点から、より高価な新規GLP-1薬一択とするのではなく、ジェネリック・リラグルチドを治療選択肢に組み込むべきだと主張する。保険者によるフォーミュラリー収載、学会ガイドラインでの位置づけ明確化、研究者による費用対効果評価が鍵となる。特許切れ後に価格が下がりアクセスが拡大するという医薬品制度本来の姿を、GLP-1領域で実現できるかが問われている。
(リラグルチドはバイオ医薬品であるが、米国ではジェネリックが承認されている。また、サンドは、カナダ、ブラジルでジェネリックを上市する計画である。)
FDAがGLP-1医薬品不足に対応するため、ジェネリック医薬品リラグルチドを承認
ニュースソース
Suhas Gondi (Department of Medicine, Massachusetts General Hospital, Boston), et al. : Generic Liraglutide — Overlooked but Not Forgotten.
Published December 10, 2025, N Engl J Med 2026;394:107-110, DOI: 10.1056/NEJMp2515668, VOL. 394 NO. 2