【論説】米国のワクチン削減は公衆衛生にどのような影響を与えるのか?日本に聞いてみよう

Nature、2026年1月16日記事。米国の小児ワクチン推奨縮小を日本の失敗経験と照らし合わせ、その公衆衛生リスクと国際的波及を論じた政策・疫学レビュー。

米国は2026年1月5日に小児定期接種スケジュール(Childhood Immunization Schedule)からロタ、COVID-19、インフルエンザ、髄膜炎菌、A型肝炎、B型肝炎の「全員推奨」を外した。接種自体は高リスク児や保険制度で継続されるものの、政府の後押し低下がワクチン忌避(vaccine hesitancy)を助長し得ると専門家は懸念している。

日本は1994年に学校でのインフルエンザ義務接種を中止した結果、学童で感染が拡大し高齢者のインフルエンザ・肺炎死亡が増えた。さらに、日本では女子のみ対象だった風疹政策の“抜け穴”が2012–14年の大流行(1万7000例超)を招き、キャッチアップ接種(catch-up vaccination)も低調に終わった。HPVでも2013年の誤報により勧奨が停止され、感染増加を経て2022年に再開したが初回接種率は2024年で約40%にとどまる。

日本の経験は、一度後退した信頼は回復に長年を要し、若年成人ほど接種機会を逃しやすいことを示す。米国の方針転換は医師の法的リスクや提供意欲にも影響し得る。日本の研究者は、米国の後退が他国の議論に波及する「スピルオーバー効果」を警戒している。総じて、本稿は米国の決定が感染拡大・不平等・長期的追随コストを招く可能性を、日本の苦い教訓から警告している。

(原文では、COVID-19感染予測で有名になった西浦教授も出てくる。)

 

ニュースソース

Heidi Ledford: How do vaccine cutbacks affect public health? Ask Japan.
Nature, 16 January 2026, doi: https://doi.org/10.1038/d41586-026-00146-2

2026年1月20日
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