Health Affairs Forefront、2026年1月7日公開論文。2025年の米国医薬品政策の主要動向を整理し、2026年に注目すべき5つの論点を提示した政策レビュー。
2025年は、インフレ削減法(Inflation Reduction Act:IRA)の実装を中心に、主に行政府主導で薬価政策が大きく動いた。メディケア薬価交渉プログラム(Medicare Drug Price Negotiation Program)ではIPAY 2026~2028の三つのサイクルが並走し、対象拡大(Part D→Part B)や希少疾病薬の例外拡大など新たな法的・運用課題が生じた。並行してメディケアPart D(Medicare Part D)再設計が本格化し、自己負担上限は改善したが、支出増大とスタンドアロン計画の不安定化が顕在化した。
トランプ政権は薬価改革を「個別ディール」方式で推進し、メーカーとの“自主的合意”を積み重ねたが、内容は不透明で実装はこれからである。これを制度化するための自発モデルとして
・GENEROUS(GENErating cost Reductions fOr U.S. Medicaid)
・BALANCE(Better Approaches to Lifestyle and Nutrition for Comprehensive hEalth)
・GLOBE(Global Benchmark for Efficient Drug Pricing)/GUARD(Guarding U.S. Medicare Against Rising Drug Costs)
が提示された。
食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)では人事の大量流出、審査基準の変更、政治的介入が重なり、規制の予見可能性が揺らいだ。
340B医薬品割引制度(340B Drug Pricing Program)は規模拡大が続く一方、運用をめぐる訴訟とリベート方式への転換が混乱を招いた。
2026年の焦点は、IRA交渉価格の実装、モデル(GENEROUS/BALANCE/GLOBE/GUARD)の法的実現性、FDAの新規ガイダンス公開である。加えて、予防接種諮問委員会(Advisory Committee on Immunization Practices:ACIP)の勧告変更を含むワクチン政策の行方が公衆衛生に影響する。さらに、医療保険市場(Affordable Care Act:ACA)の補助金失効とメディケイド削減により無保険者増が予測され、薬価を含む負担問題が深刻化する。総じて、2026年は薬価・規制・保険の三位一体の緊張が高まり、アクセスとイノベーションの両立が試される年になる。
ニュースソース
Rachel Sachs : Prescription Drug Policy, 2025 And 2026: The Year In Review And The Year Ahead .
Health Affairs Forefront, January 7, 2026, 10.1377/forefront.20260105.879360 (オープンアクセス)