JAMA Health Forum、2026年1月8日オンライン公開記事。米国医療の「本当の高コスト」と「手頃な価格の医療法(Affordable Care Act:ACA)」の補助金が何をしてきたのかを、家計とマクロ経済の両面から解き明かす論考。
米国の医療費は2023年に1人当たり1万3432ドルと、他の先進国平均の約1.8倍に達し、GDP比でも17.6%と歴史的高水準にある。この高コストは政府財政を圧迫し、企業では賃金停滞や国際競争力低下を招き、個人には医療アクセス障害や医療破産をもたらしている。
多くの米国人が加入する雇用主提供保険も、実は極めて高額で、2025年の家族保険料は年間2万6993ドルと、典型的な年収6.2万ドルの4割超に相当する。従業員が直接払う保険料や自己負担はその一部にすぎず、企業負担分が“見えないコスト”として賃金や価格に跳ね返っている。
オバマケアのACAは「医療を本当に安くしていない」と批判されてきたが、実際には医療費の伸びを歴史的に減速させた。ACA後の年平均伸び率は4~5%台で、1970~90年代の二桁成長から大きく低下している。さらに、低所得層にはメディケイド拡大、高齢者以外には所得に応じた保険料補助で、「払える範囲」を制度として明示した点が重要である。
とくに2021年に導入された強化保険料税額控除は、中間層にも補助を広げ、自己負担を所得の8.5%以下に抑えたことで加入者数を倍増させた。これが失効すると、2200万人の加入者の保険料は平均114%増となり、60歳・年収6.4万ドルの女性では、保険料が年5440ドルから1万4853ドルへ跳ね上がる。
結局、補助金や企業負担は「誰かが払っている」だけであり、根本的な解決策は医療そのもののコストを下げることにある。ACAを巡る次の本当の争点は、「どこまで補助するか」ではなく、「なぜ米国の医療はこれほど高いのか」をどう是正するかに移りつつあるとする。
ニュースソース
Larry Levitt: How Unaffordable Is Health Care?
JAMA Health Forum, Published Online: January 8, 2026, 2026;7;(1):e256929. doi:10.1001/jamahealthforum.2025.6929 (オープンアクセス)