FDA、医薬品開発支援のためのベイズ手法の使用に関するガイダンス発行

米国食品医薬品局(FDA)は、2026年1月9日、過去の臨床試験データを活用するベイズ統計(Bayesian methods)の使用について、臨床試験向けのドラフトガイダンスを公表した。対象は、治験届(Investigational New Drug application:IND)、新薬承認申請(New Drug Application:NDA)、生物学的製剤承認申請(Biologics License Application:BLA)、およびそれらの追加申請である。

このガイダンスは、処方薬ユーザーフィー法第6次再承認(Prescription Drug User Fee Act VI:PDUFA VI)でFDAが約束した「複雑・革新的臨床試験デザイン(Complex Innovative Trial Design:CID)」推進の一環として発出されたものであり、ベイズ統計や適応的試験の活用によって開発期間を短縮することを狙っている。

従来の頻度論的統計手法が新たに得られた試験データのみに依存していたのに対し、ベイズ統計では、過去の臨床試験の結果を事前分布(prior distribution)として正式に組み込むことができる。これにより、中間解析のタイミングや適応的変更、用量設定、さらには主要解析そのものにまで活用できるとFDAは説明している。

ガイダンスでは、事前分布の設定原則、欠測データや推定対象(estimand)の扱い、ベイズ解析用ソフトウェアの使用、結果の文書化・報告方法など、実務的な論点が体系的に整理されている。さらに、小児へのデータ外挿、用量探索試験、過去試験データの借用などが代表的な活用場面として示されている。

ベイズ手法を用いる場合、プロトコルおよび統計解析計画には、試験デザインの妥当性、事前分布の根拠、外部データの使い方、尤度関数、成功基準、試験の運用特性まで明確に記載する必要があるとされる。さらに、シミュレーション報告書などの補足資料も含め、できるだけ早期の設計段階でFDAに提出し、事前にフィードバックを受けることが重要だと強調されている。

本ドラフトガイダンスは、ドケット番号 FDA-2025-D-3217 として60日間の意見募集に付されている。

 

2026年1月10日
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