Nature、2026年1月6日記事。がんが治った後に体内に残る「休眠がん細胞(dormant tumour cells)」が再発の大きな原因であることを解説したもの。
乳がんなどでは、治療後もがん細胞が骨髄などに潜んで何年も眠り続け、後に転移として再発することがある。こうした細胞は免疫や抗がん剤から逃れる性質をもち、約3割以上の患者が保有している可能性がある。
近年、これらの細胞を検出する技術が進み、臨床試験も始まっている。休眠細胞は体の微小環境や免疫との相互作用によって眠り続け、感染症や加齢、組織損傷などが覚醒の引き金になり得る。生存のためにmTOR経路やオートファジー(自己分解)を使ってエネルギーを節約していることも分かってきた。
治療法としては、CAR-T細胞で免疫に見せる方法や、ストレス応答経路(PERK)を阻害する薬が開発されている。特にオートファジー阻害薬ヒドロキシクロロキンとエベロリムスの併用は、休眠細胞を約87%で除去できた。ただし休眠の仕組みは複雑で、単一の治療ではなく患者ごとの組み合わせ療法が必要になると考えられている。
この分野の進展により、がんの再発を根本から防ぐ新しい治療の可能性が広がっているとする。
ニュースソース
Amanda Heidt: Why cancer can come back years later — and how to stop it.
Nature 649, 282-284 (2026), doi: https://doi.org/10.1038/d41586-025-04149-3
2026年1月9日