日本の医療技術評価(HTA)制度において、QALYを用いた定量的な重症度評価が、現行の価格調整ルールとどの程度整合しているかを検証した論文。
日本のHTA制度ではQALYに基づくICERで薬価調整が行われているが、疾患の重症度は定量的に評価されていない。本研究は、QALY不足(shortfall)を使った重症度指標が、日本で特別配慮(ICER基準の引き上げ)を受けている疾患と整合しているかを、32品目のHTA評価を用いて検証した。その結果、がんや小児疾患は高い重症度に分類され、現行制度と一致していた一方、慢性疾患や感染症の一部は重症度が高いにもかかわらず特別配慮の対象外であった。逆に、指定難病の中に重症度が低く評価される例もあった。全体として、日本のHTA制度は一部では妥当だが、未充足医療ニーズを見落としている可能性があることが示された。QALY不足は、こうしたギャップを補う有用な指標になり得るが、実際の制度に組み込むにはさらなる検証と合意形成が必要であるとする。
ニュースソース
Miwa Enami (Japan Access & Value, Pfizer Japan Inc.), et al. : Quantifying Disease Severity in Health Technology Assessment in Japan: A Retrospective Analysis Using Quality-Adjusted Life-Year Shortfalls.
J Health Econ Outcomes Res. 2025 Dec 2;12(2):229-236. doi: 10.36469/001c.147469. eCollection 2025. (オープンアクセス)