Pharmaceutical Technology、2025年12月18日記事。
米国の複数州で、処方薬価格を抑制するため処方薬価格審査委員会（Prescription Drug Affordability Board：PDAB）が導入・拡大されている。PDABは薬価の妥当性を審査し、場合によっては上限支払額（Upper Payment Limit：UPL）を設定できる仕組みである。ミネソタ、コロラド、メリーランドなど少なくとも5州が制度化を進め、実際に「手の届かない薬」と認定し支払上限を提案した州も出てきた。
背景には、患者が高額な生物学的製剤にアクセスできない現実と、州財政（メディケイドや州職員保険）への圧迫がある。薬価形成は薬剤給付管理業者（Pharmacy Benefit Manager：PBM）を介した非公開交渉と高いリスト価格に依存し、患者負担の不透明さが問題視されている。PDABのUPLは、メーカーを直接規制するのではなく、州内での購入価格に上限を設け、交渉を促す設計である。
近年は、インフレ抑制法（Inflation Reduction Act：IRA）に基づくメディケアの最大公正価格（Maximum Fair Price：MFP）を州のUPLに活用する動きが出ている。一方、製薬企業や卸、薬局からは違憲性、供給混乱、薬局の資金繰り悪化への懸念が示され、訴訟も進行中である。州ごとの制度が乱立すると、広域流通や契約構造に負荷がかかるとの指摘もある。それでもPDABは、州が薬価に直接関与する新たな転換点として注目されており、コロラド州とメリーランド州の動向が試金石になるとする。なお、記事では、具体的な医薬品価格についても言及されている。
ニュースソース
Pharmaceutical Technology: States consider payment limits to curb prescription drug prices with PDABs.
https://www.pharmaceutical-technology.com/newsletters/states-consider-payment-limits-to-curb-prescription-drug-prices/?_hsenc=p2ANqtz-8sPy326qL82Y1-v1XzwQUuAioZjFcse6fE2Pxw4mz8Drr0gzdo_glWHKeeS7hOa-i129dcvK0BOm2vkav2Y8g12oTixYF972a8Y9emPQqusWwQvXU&_hsmi=124355781&utm_campaign=type3_Pharmaceutical%20Technology-market&utm_medium=email&utm_content=Spotlight_News_Article&utm_source=email_NS&cf-view&cf-view