米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)は、医薬品・医療機器の審査に用いるリアルワールドエビデンス(RWE)について、個人識別可能な患者データの提出を必須としない新たな方針を示した。これにより、これまで制約が大きかったRWE活用のハードルが大きく下がることになる。
RWEは以前から注目されてきたものの、厳格な要件のため実際の活用は限定的であった。特に医薬品分野ではRWEを含む申請は少数にとどまり、近年は伸び悩んでいた。
従来のFDA方針では、個人レベルの機密データ提出が求められ、大規模データベースの利用が困難だった。今回の変更は、個人情報を含まなくても有用な知見が得られるという科学的見解を反映したものである。FDAは今後、申請ごとにRWEの科学的妥当性を柔軟に評価する。がん登録簿や保険請求データ、電子カルテなど、匿名化された巨大データベースの活用が可能となる。これらは多様な集団・実臨床での治療効果を把握でき、臨床試験を補完する。FDAはこの改革により、革新的治療をより迅速に患者へ届けることを目指している。
ニュースソース
Food and Drug Administration: FDA Eliminates Major Barrier to Using Real-World Evidence in Drug and Device Application Reviews.
https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-eliminates-major-barrier-using-real-world-evidence-drug-and-device-application-reviews?utm_medium=email&utm_source=govdelivery