Regulatory Focus、2025年12月11日記事。EUが大規模な医薬品制度改革で暫定合意に達し、規制の簡素化・イノベーション促進・供給網強化を同時に図る新たな枠組みを打ち出したことを伝える。
欧州委員会・欧州議会・EU理事会は、EU医薬品法の抜本的改正に関して歴史的な暫定合意に達し、承認プロセスの迅速化、規制構造の簡素化、創薬支援、そして医薬品供給の安定化を目指す包括的パッケージがまとまった。中心となる改革は、EMAのヒト医薬品委員会を5つから CHMP と PRAC の2つに再編 し、審査プロセスを効率化する点である。これにより、承認審査は 210日から180日へ短縮 され、マーケティング承認は原則「無期限」となり、更新手続きは安全性に問題がある場合のみ必要となる。
加えて、企業には 8年間のデータ保護+1年の市場保護 が付与され、条件を満たす場合にはさらに1年の延長が認められ、最大11年の規制的保護が得られる。申請書類は電子フォーマット(ePI)に統一され、デジタル化が大幅に進む。イノベーション促進策として、EMAとHTA機関が連携して拡張科学助言を行うほか、革新的治療のために柔軟な規制要求を試す 「規制サンドボックス」 の導入も盛り込まれた。
一方、供給網の強化も重要な柱となり、企業には 不足防止計画の作成義務 が課され、EUは「重要医薬品リスト」や「重大な不足リスト」を整備して監視を強化する。また、優先すべき抗菌薬の研究開発を促すために、企業が12か月の追加データ保護を他製品に移転して使える 「トランスファラブル・データ排他バウチャー」 制度も導入される。
この改革案は正式採択を待つ段階だが、EMAは今後、企業向けガイダンス整備や新制度の実装を進め、専用ウェブページで最新情報を提供していく予定である。業界団体EFPIAは保護期間が十分強化されていない点を懸念し「競争力向上につながらない」と批判する一方、希少疾患団体EURODISは、希少疾患向けの「ブレークスルー孤児医薬品」カテゴリー創設を大きな前進として評価し、審査迅速化と供給安定化が患者利益につながると歓迎しているとする。
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ニュースソース
Regulatory Focus: EU legislators reach agreement on landmark pharmaceutical package.
https://www.raps.org/news-and-articles/news-articles/2025/12/eu-legislators-reach-agreement-on-landmark-pharmac?utm_campaign=regulatory_focus&utm_medium=email&_hsenc=p2ANqtz-9qPAni8wGAZSJBkR_gi2AlnCHszLEDNeoTMP6dADamf58wnfL1tucUhd8yX-6Mlfg_1bXSph83iCOpa4QcTLkF5KyoEdMeORssU0bCcxJv44WWSXc&_hsmi=394097937&utm_content=394097937&utm_source=hs_email