【論文】CAR-T療法に関するFDAの最新の考え方

JAMA、2025年12月8日公開記事。

キメラ抗原受容体(Chimeric antigen receptor:CAR)T細胞療法の進展と、腫瘍学におけるエビデンスに基づいた治験デザインに関する米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)の規制上の視点を概説した論文。

FDAは、CAR-T細胞療法について高い有効性と安全性を維持しつつ、より科学的で効率的な開発を促す新たな規制フレームワークを示している。これまで7製品が承認されており、多くは単群試験(single-arm)で高い奏効率を示してきたが、今後の新規製品については原則ランダム化比較試験(RCT)を求め、生存期間や有効性の優れた代替指標を用いて初回承認を支える方針。

高度な有効性が示されている場合、単群試験で加速承認を得て、後続のRCTや長期追跡で利益を確認することも許容される。特に製造遅延のないオフ・ザ・シェルフ型(allogeneic)CAR-Tなどは、未充足の医療ニーズの観点から優先される可能性がある。

安全性面では、サイトカイン放出症候群や神経毒性、まれな二次がん(CAR陽性T細胞リンパ腫など)を受けて、長期安全性フォローアップを15年間実施する方針を維持。一方で、REMSの撤廃など、不要な規制は減らしている。

小児がん領域では承認製品が少ないため、FDAは最大限の柔軟性をとる姿勢を明確にしており、今後はより早期ラインや新規抗原標的への展開も期待される。全体としてFDAは、科学的根拠を重視しながら、CAR-Tの革新性を迅速に患者へ届けるため、効率化と高いエビデンス基準の両立を目指している。

 

ニュースソース

Upendra Mahat (Division of Clinical Evaluation Hematology, Office of Clinical Evaluation, Center for Biologic Evaluation and Research, Food and Drug Administration, Silver Spring, Maryland), et al. : Advancing CAR T-Cell Therapy- Evidence-Based Trial Design for Chimeric Antigen Receptor T-Cell Therapy in Oncology.
JAMA, Published Online: December 8, 2025 doi: 10.1001/jama.2025.21721(オープンアクセス)

2025年12月9日
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