【論文】遺伝子治療における革新的な契約形態:米国における遺伝子治療資金調達の現状と将来展望

Pharmacoeconomics誌、2025年11月27日公開論文(オープンアクセス)。

米国では高額な遺伝子治療(Gene Therapies:GTs)に対応するため、過去10年ほどで成果連動型・分割払い型などの革新的契約(Innovative Contracts:ICs)が模索されてきた。本研究は、文献調査とステークホルダーへのインタビューから、これらGT向けICの実態を整理したもので、14品目中10品目で契約情報が公開され、合計16件の契約の多くは「前払い+マイルストーン払い戻し」型であった。インタビューでは、規制制約(Medicaid Best Price等)、データ不足、患者移動、インセンティブの弱さ、そして「支払側とメーカーの相互不信」が主要な障壁として挙げられた。ICを標準とすべきとの意見もある一方、「早期アクセスが特に問題となる製品に限定すべき」という慎重論も存在した。結論として、ICが普及するには、単一モデルではなく多主体の協調と業界共通ルールの整備が不可欠であり、これによりGTへの公平で持続可能なアクセスが促進されるとされる。

 

ニュースソース

Tyler D. Wagner (National Pharmaceutical Council, Washington, DC), et al. : Innovative Contracting for Gene Therapies: Current Landscape and Perspectives on the Future of Gene Therapy Financing in the USA.
PharmacoEconomics (2025). https://doi.org/10.1007/s40273-025-01563-3

2025年12月2日
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