【論文】米国FDAによる競合的ジェネリック医薬品の承認と医薬品競争

JAMA Intern Med、2025年11月17日公開論文。2017年に米国で始まった Competitive Generic Therapy(CGT)制度 が、ジェネリック市場への参入や価格競争にどんな影響を与えたかを分析した研究。

CGT制度は、市場にブランド品+ジェネリックが「1種類しかない」医薬品を対象とし、承認後に 180日の販売独占期間 を得られる仕組み。ただし、承認から 75日以内に発売しないと独占権は失効(他社に移らない)し、CGTが発売するまで、FDAは他メーカーの承認も出せる(早く市場に出さないと競争が増えるしくみ)。

(坂巻コメント:わが国でも、ジェネリック産業振興において、こうした仕組みの導入を考えるべき。)

本研究では、2017〜2022年に承認された CGT(Competitive Generic Therapy)の127品目のうち、106品目(83.5%)が承認後75日以内に発売され、中央値はわずか7日と、非常に迅速に市場へ参入していた。CGTが市場に登場すると、既存薬の価格は中央値で18%低下し、CGT自身も参入後12か月で平均40%の価格低下を示した。一方で、市場全体の販売量は大きく変化せず、需要は安定したまま、既存薬・CGT・その他ジェネリックの間で自然なシェアの均衡が形成されていた。

また、CGT参入後6〜7か月で、CGT独占期間の終了に合わせて他のジェネリック参入が増加し、これに伴って価格はさらに低下する傾向がみられた。総じて、CGT制度は迅速な市場参入を促し、価格引下げ効果を発揮しつつ、市場需要を維持したまま競争環境を安定化させることが示された。

 

ニュースソース

Kevin Kho (Office of the Commissioner, US Food and Drug Administration), et al.: US Food and Drug Administration Competitive Generic Therapy Approvals and Drug Competition.
JAMA Intern Med. Published online November 17, 2025.doi:10.1001/jamainternmed.2025.6072 (オープンアクセス)

2025年11月23日
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