フォーミュラリーへのアクセス改善について論じた論文(論説)。
Formulary の複雑さとアクセス困難は、服薬不遵守の大きな要因となり、年間2,900億ドルもの回避可能な医療費を生んでいる。現在、多くの患者や医師が自分の保険がどの薬をカバーしているかを把握できず、薬局で「保険適用外」と告げられて治療を中断する事態が頻発している。
Medicaid プランの半数以上は Formulary がオンラインで容易に確認できず、診療の現場でも実用性が低い。これに対し、Formulary を電子カルテ(EHR)に統合すれば、医師はその場で費用情報やカバー状況を確認でき、処方の質と費用対効果が向上する。また、事前承認の負担も軽減され、医療者の時間やコストの節約につながる。
Formulary 情報を公開すれば、政策立案や研究、プラン比較も進み、制度改善の基盤が形成される。そこで、PBM が四半期ごとに最新 Formulary を中央レジストリに登録する仕組みを連邦法で義務づける案が挙げられている。PBM 市場は少数企業が支配しており、デジタル化も進んでいるため、この制度は実現可能性が高い。最終的に、Formulary の透明性向上は、患者中心の医療、より適正な処方、そして医療の効率性向上に寄与するものと結論づけている。
ニュースソース
Victor C. Agbafe BA (University of Michigan Medical School, Ann Arbor, MI, USA), et al.:
Enhancing Formulary Accessibility: a Step Toward Better Care.
J GEN INTERN MED (2025). https://doi.org/10.1007/s11606-025-10029-3 (オープンアクセス)