英国政府は「抗菌薬耐性国家行動計画(antimicrobial resistance national action plan :AMR NAP)2024年から2029年」の1年次進捗報告書を2025年10月24日に公開した。
AMR NAPは、2040年までに抗菌薬耐性を封じ込め、制御し、軽減する(be contained, controlled and mitigated)という英国の抗菌薬耐性に関する20年ビジョンに向けた進展を目指す成果と取り組みが盛り込まれている。2024年から2029年までのAMR NAPは、以下の各テーマに沿って成果が整理されている。
- テーマ1 – 抗菌薬の必要性と意図しない曝露の削減
- テーマ2 – 抗菌薬の使用最適化
- テーマ3 – イノベーション、供給、アクセスのための投資
- テーマ4 – 優れたグローバルパートナーであること
テーマ2の事例として、「イングランドにおける抗菌薬処方と薬剤適正化」が示され、具体的には以下の成果が得られたとしている。
- 2023年から2024年にかけて、イングランドの一般診療所における抗生物質の処方箋調剤数は前年比で110万件減少した。この減少は3,400万件の処方箋に対して3.2%の削減に相当し、年間抗生物質薬剤費の630万ポンド削減に相当する。
- 病院における抗生物質の総処方量は、2023年から2024年にかけて1.4%減少した
- 入院1回あたりの抗生物質静脈内投与日数は、2023年から2024年にかけて4.85%減少した。これは、静脈内投与から経口投与へのタイムリーな切り替えを促進するイングランド国民保健サービス(NHS)の政策介入と時期を同じくする。この減少は、年間650万ポンドの薬剤費削減と、97万時間の看護時間の節約に相当する。
- 一次医療における抗生物質の10%は、年間10回以上の急性感染症を発症する0.5%の患者によって消費されている
ニュースソース
GOV.UK.: Policy paper-UK 2024 to 2029 antimicrobial resistance national action plan: 1-year progress report.
https://www.gov.uk/government/publications/uk-5-year-action-plan-for-amr-1-year-progress-report/uk-2024-to-2029-antimicrobial-resistance-national-action-plan-1-year-progress-report
2025年11月1日