米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)は、2025年10月29日、バイオシミラーの「不必要な臨床試験」を削減するガイダンス案を発表した。このガイダンス案は、トランプ政権が医薬品コスト削減に向けて新たに打ち出した施策の一部とされている。
本ガイダンス案は、バイオシミラー承認における比較有効性試験(Comparative Efficacy Study:CES)の必要性を再評価し、試験を省略できる条件を明確化するものである。2015年版ガイダンス以降の科学的知見と技術の進歩を踏まえ、「分析的同等性(analytical similarity)」と「薬物動態(PK)・免疫原性評価」による総合的判断(totality of evidence)が十分であれば、CESを必ずしも要求しない方向へと方針を更新している。
ガイダンス案では、以下の条件を満たす場合、比較有効性試験を行わずに承認審査が可能とする方向性を示している。
| 条件 | 内容 |
| ① 製品の高純度・クローン由来 | 両製品がクローン細胞株から製造され、高度に精製・特性解析可能であること。 |
| ② 品質属性と臨床効果の関係が既知 | 品質属性(quality attributes)と臨床的有効性との関係が理解されており、CAAで適切に評価できること。 |
| ③ PK試験が臨床的に適切 | 人における薬物動態試験が実施可能であり、臨床的に関連があること。 |
一方で、CESが依然として必要な場合として:
- 局所作用型製品(例:眼内投与など)では、PK比較が臨床的に関連しない場合があるため、CESが依然として有用である。
- 臨床有効性以外のエンドポイント(例:安全性・反応性指標)による臨床比較が必要な場合もあり得る。
- これらのケースでは、開発早期からFDAとの協議を推奨している。
としている。
ニュースソース
- Dept. Health and Human Services: FDA Moves to Accelerate Biosimilar Development and Lower Drug Costs.
https://www.hhs.gov/press-room/fda-accelerates-biosimilar-development-and-lowers-drug-costs.html - Food and Drug Administration: Scientific Considerations in Demonstrating Biosimilarity to a Reference Product: Updated Recommendations for Assessing the Need for Comparative Efficacy Studies – Guidance for Industry.
https://www.fda.gov/media/189366/download
2025年10月31日