PubMed抄録。
目的：本研究は、カナダ・ブリティッシュコロンビア州において、炎症性関節炎（inflammatory arthritis：IA）患者を先発生物学的製剤からバイオシミラーへ切り替えを義務付けた一連の政策が、医療資源の使用量と費用に与えた影響を評価することを目的とした。
方法：2013年1月から2022年12月までのIA患者の医療データは、Population Data BCが保有する5つの連結行政データベースから取得した。分析対象は、医師診療、入院診療、救急外来受診、併用薬剤使用の4つの医療資源における月平均利用量と費用の推移である。中断時系列分析を用いて、 (1) インフリキシマブまたはエタネルセプト、(2) アダリムマブを対象とした切り替え政策が、生物学的製剤およびバイオシミラーの費用を除く総医療費に与える影響を評価した。
結果：本研究には3,150名の患者が対象となった。IA患者における総医療費の大部分は、入院および医師診療が占めていた。いずれの非医学的切り替え政策実施後にも、医師診療、入院、救急外来受診、併用薬剤使用の増加を示す証拠は認められなかった。また、両政策において総医療費の水準および傾向に有意な変化は認められなかった：インフリキシマブまたはエタネルセプト（水準 -40ドル、95%信頼区間 [CI] -99～19ドル；傾向値 5.42ドル、95% CI -0.62～11.46ドル）とアダリムマブ（水準 -34ドル、95% CI -139～70ドル；傾向値 -8.97ドル、-17.94～0.00ドル）の両方において、医療費総額のレベルと傾向に有意な変化は認められなかった。
結論：医療的根拠に基づかないバイオシミラー切り替え方針は、他の医療サービスの利用や費用の増加にはつながらなかった。
ニュースソース
HaoHung Dang (University of British Columbia and Centre for Advancing Health Outcomes, Vancouver, BC, Canada), et al. : Did a Non-Medical Biosimilar Switching Policy Cause an Increase in Non-Biologic/Biosimilar Health Care Resource Utilization or Cost in Patients With Inflammatory Arthritis?
Arthritis Care Res (Hoboken). 2025 Jul 14. DOI: 10.1002/acr.25610. Online ahead of print.（オープンアクセス）