【論文】日本における在宅自己注射バイオ製剤の医療費への影響

PubMed抄録。
目的:関節リウマチ(RA)は、高コストな生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(bDMARDs)で治療されることが多い慢性炎症性疾患である。2025年5月現在、日本で承認されているbDMARDは12種類(先発品9種類、バイオシミラー3種類)であり、うち10種類が自己注射(SI)可能である。SIは通院回数を減らす可能性があるが、処方パターンや医療費への全体的な影響は不明である。

方法:日本の健康保険請求データを用いた後ろ向きコホート研究を実施した (DeSC Healthcare、2014年4月~2023年8月)。RA患者は診断コードとbDMARD処方記録に基づき特定した。bDMARD初回処方から3ヶ月以内にSIを開始した患者をSI群、それ以外を非SI群とした。25の共変量を用いてプロペンシティスコアマッチング(1:1)を実施した。公的保険者視点から、月間直接医療費、bDMARD処方量、年間入院頻度を比較した。

結果:合計6784例がマッチングされた(平均年齢: 73.5歳、女性73.2%)。SI群は非SI群(月額医療費608.3ドル、95%信頼区間[CI] 598.3-618.4ドル、P<0.05)と比較して、より高い月額医療費(774.0ドル、95% CI 763.3-784.6ドル)を要した。bDMARDsの処方量はSI群でより多かった(2.9対1.9単位/患者/月;P<0.05)。しかし、SI群は年間入院回数が有意に少なかった(9.5対25.0回/年;P<0.05)。

結論:SIはbDMARDsの使用量増加により直接費用を増加させたが、入院回数を減少させた。これは間接費用削減の可能性を示唆している。これらの知見は、RAに対する将来の償還およびケアモデルを支持する可能性がある。

 

ニュースソース

Kazuhiko Takahata (Department of Public Health and Epidemiology, Meiji Pharmaceutical University, Tokyo), et al. : Economic Impact of Self-Injected Biologics for Rheumatoid Arthritis in Japan: A Propensity Score-Matched Analysis From a Public Healthcare Payer Perspective
Value Health Reg Issues. 2025 Oct 23:53:101511. DOI: 10.1016/j.vhri.2025.10151 Online ahead of print.(オープンアクセス)

2025年10月28日
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