FDAは、患者中心の医薬品開発ガイダンスを更新

米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)は、2025年10月23日、「患者中心の医薬品開発: 目的に合った臨床アウトカム評価の選択、開発、修正」とするガイダンス修正案を公開した。

このガイダンスは、4つの方法論からなる患者中心の医薬品開発(patient-focused drug development:PFDD)ガイダンス文書の第3弾であり、関係者(患者、研究者、医薬品開発者、その他)が、どのように患者や介護者から患者経験やその他の関連情報を提出し、医薬品開発や規制上の意思決定に利用できるかを説明している。また、本ガイダンスは、2022年6月30日に発行された同タイトルのガイダンス案を最終化したもの。

第1・2弾では、患者体験データ(Patient Experience Data:PED)や患者・介護者からのインプットを医薬品開発・規制判断に活用するための基礎的手法を整理している。本第3弾では、COAの開発・修正・選択に焦点を当て、第4弾では、臨床試験で得られたCOAデータをどのようにまとめ、製品評価・ラベリング・意思決定に用いるかを扱う。

本ガイダンス(第3弾)の概要は以下の通り。

このガイダンスは、臨床試験等において用いられる「臨床アウトカム評価(Clinical Outcome Assessment:COA)」の選択・開発・修正を支援するものである。

COAとは、患者がどのように感じ、どのように機能し、生存しているかを測定または反映する指標であり、例えば「患者報告による腹痛」「2分間歩行距離」「医師による大腸内視鏡での所見」などが該当する。また、COAを用いるためには「関心の概念(concept of interest)」と「使用コンテキスト(context of use)」が明確であることが重要である。

  1. COAを利用する前の準備
  • COAを選定・開発するにあたり、まず「患者の体験を理解し」「製品が影響を与える可能性のある概念(たとえば症状、機能、活動制限など)を明確にする」ことが必要である。
  • その概念が「患者にとって重要」であり、「製品が変化させ得る可能性がある」ことを確認する。
  1. COAの適切な選択と説明責任
  • 既存のCOAが使用予定の「概念」かつ「コンテキスト」に適していれば、新規に作るのではなく「既存のものを使用または修正する」ことが推奨される。
  • その際、なぜそのCOAを選んだのか、どのように使用するのか、どのような証拠があるのかについて、スポンサー(医薬品開発者)が明確に説明できるべきである。
  1. Fit-for-Purpose(目的適合性)の確保
  • “Fit-for-Purpose”とは、当該COAが「設定された使用コンテキストにおいて」「十分な信頼性・妥当性をもって」「意味のある臨床情報を提供できる」という証拠がある状態を指す。
  • もしCOAがその目的に適合していなければ、得られたデータが誤解を招く、感度が低い、変化を検出できない、または実際には変化していないのに「変化あり」と誤示する可能性がある。
  1. 規制審査との関係
  • COAを通じて得られたデータは、医薬品の「効能・効果(indication)」決定やラベリング(添付文書/説明書)において、FDAが考慮する重要な一部である。
  • このガイダンスは、複数のセンター(Center for Drug Evaluation and Research:CDER、Center for Biologics Evaluation and Research:CBER、Center for Devices and Radiological Health:CDRH)共同で発出されている。

 

ニュースソース

Food and Drug Administration: Patient-Focused Drug Development: Selecting, Developing, or Modifying Fit-for-Purpose Clinical Outcome Assessments.
https://www.fda.gov/regulatory-information/search-fda-guidance-documents/patient-focused-drug-development-selecting-developing-or-modifying-fit-purpose-clinical-outcome

2025年10月25日
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