米国の非営利組織Institute for Clinical and Economic Review(ICER)は、2025年10月23日、「発売価格とアクセスレポート(Launch Price and Access Report:LPAR)」を発表し、医薬品の発売価格がインフレ率、国内総生産(GDP)成長率、医療費全体を上回る速度で上昇し続けているとした1)。
ICERの分析は、公開されている「定価」ではなく、リベートや割引後に支払われた実際の価格リベートや割引後に支払われた「正味価格」で計算されている。正味価格を使用した報告書によると、インフレ調整後の医薬品の年間発売価格の中央値は2022年から2024年にかけて51%(2022年は182,271ドルから2024年は274,795ドル)上昇し、年間定価は同期間に24%(249,257ドルから308,749ドル)上昇したとされる。
また、ICERによって以前にレビューされた対象となる23の薬物について詳細なレビューも実施しており、各医薬品の価値評価である健康給付価格ベンチマーク(Health Benefit Price Benchmark:HBPB)に基づき、「適切な」価格の調整を行っている。これによると、承認後の最初の1年間で約1.3〜15億ドルを節約できた可能性があるとしている。
製薬業界寄り研究所のNational Pharmaceutical Councilは、「LPARは、患者と社会にとっての医薬品の価値について不完全な見方を描いており、誤解を招く「過剰支出」分析を誤解するリスクがあります。また、患者の新薬へのアクセスを妨げる潜在的な保険上の懸念も浮き彫りにしています」と批判的コメントを述べたとされる2)。
ニュースソース
- Institute for Clinical and Economic Review: Launch Price and Access Report.
https://icer.org/wp-content/uploads/2025/10/ICER_2025_Launch-Price-and-Access-Final-Report_For-Publication.pdf. - STAT: Launch prices for new drugs ‘significantly’ exceed inflation and offer insufficient value, analysis says.(By Ed Silverman Oct. 23, 2025)
https://www.statnews.com/pharmalot/2025/10/23/drug-launch-prices-exceed-inflation-value/(サブスクリプション)