【論文】フランスにおけるバイオシミラー切替えの処方医と患者の意識調査

リウマチ科および消化器科の処方医と同診療科の患者を対象とした質的インタビュー調査ならびに定量的調査結果の論文。科学的にデザインされた調査であり、日本でも同様の調査実施において参考となると思われ、方法について詳述する。

方法:リウマチ専門医2名、消化器病専門医1名、心理学者1名、医療経済学者1名、公衆衛生専門家1名、患者団体代表3名で構成される「バイオシミラー活用専門委員会Expert Committee for the Utilization of Biosimilars」を設置し、調査計画の立案と結果の分析が行われた。質的インタビューは、半構造化電話インタビューが1回約1時間にわたって行われ、医師12名と患者14名が対象となった。インタビューガイドは専門委員会により改定・検証され、質的研究報告のための統合基準(Consolidated criteria for reporting qualitative research:COREQ)チェックリストが適用された。これには、インタビューガイドの作成、データ収集と分析方法の選択、調査結果の解釈が含まれる。対象者のリクルートプロセスも専門委員会が決定し、実際のリクルートは、IQVIA Franceが実施し、インタビューは専門委員会メンバー2名が担当した。

量的研究は、質的インタビュー内容をもとに質問票が作成され、参加者はIQVIA Franceが募集し、Eメールで調査リンクを受け取った。調査においては、調査に対する不安を調べる「GAD-7テスト」を任意で回答できるようにした。

論文抄録の結果および結論は以下の通り。
結果:量的調査と質的調査の結果には類似性がみられた。定性的調査では、患者の71%(10/14)がバイオシミラーへの切り替えを受け入れた。その半数(7/14)にとって、医師と患者の関係における信頼が受容の主な理由であった。処方医が指摘した主な障壁は、診察時間が限られていること、患者の病気による不安などであり、いずれも切り替え意欲にマイナスの影響を与えた。量的研究では、89%(89/100)の処方者が、基準生物学的製剤からの切り替えによりバイオシミラーの処方を行ったと報告した。しかし、対象となる患者を組織的にスイッチしていると回答したのは33%(29/89)に過ぎなかった。
結論:基準生物学的製剤からバイオシミラーへの切り替えは、処方者の実践における体系的な提案の欠如や患者への情報提供の欠如など、いくつかの要因によって妨げられている。

 

ニュースソース

Cécile Gaujoux-Viala (Inserm, IDESP, University of Montpellier, Montpellier, France), et al. : he Switch from Reference Biologic Medicines to Biosimilars in France: The Perspective of Patients and Prescribers on Barriers and Needs.
J Multidiscip Healthc. 2025 Oct 14:18:6681-6698. doi: 10.2147/JMDH.S528370. eCollection 2025. DOI: 10.2147/JMDH.S528370(オープンアクセス)

 

2025年10月22日
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