ボストンに続くバイオクラスターはどこか?

STAT、2025年10月9日記事。

過去10年以上、ボストンおよびケンブリッジ地区は世界のライフサイエンス産業の中心地として君臨してきた。ハーバード大学とMITを中心に、世界有数の病院群(マサチューセッツ総合病院、ダナファーバーがん研究所など)が連携し、連邦政府からの研究資金とベンチャー投資が潤沢に流れ込み、バイオ医薬関連の雇用は10年間でほぼ倍増した。

しかし、連邦研究助成金の削減や外国人留学生・研究者へのビザ制限など、トランプ政権の方針がボストンの成功要因を脅かす可能性がある。それにより、他都市がボストンに取って代わるのではないかという懸念が生じている。

記事では、ボストンに代わる都市の出現、米国以外での可能性を論じている。米国内では、1つの中心ではなく、複数のライフサイエンス拠点が並立する時代になる可能性を指摘し、以下の3都市を挙げている。

  • サンフランシスコ:スタートアップ・AI活用でボストンを上回る
  • サンディエゴ:研究・製造分野で強み
  • ニュージャージー/ノースカロライナ(リサーチ・トライアングル):バイオ製造で優位

一方、海外勢では、以下を挙げている。

  • 中国・深圳:世界のライセンス取引の約30%を占め、米国のシェアを侵食中
  • 英国・ケンブリッジ(University of Cambridge):イノベーション密度で世界第2位(サンフランシスコに次ぎ、ボストンを上回る)。ベンチャー投資額は10年で10倍の23億ドルに達し、ユニコーン企業26社を輩出。英国版「Innovate Cambridge」が留学生や研究者の受け入れを積極的に推進している。

ボストンは依然として世界の頂点に立つが、その地位は永続的ではなく、中国・英国・米国内の新興都市が勢力を伸ばす中で、ボストンはAIなど「次の波」を取り込む柔軟性が問われているとする。

 

ニュースソース

STAT: In biotech, Boston reigns supreme, but its competitive edge is being challenged in new ways. (By Shirley Leung, Oct. 9, 2025)

In biotech, Boston reigns supreme, but its competitive edge is being challenged in new ways

 

2025年10月14日
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