アダリムマブ・バイオシミラーについて、世界各国での上市製品とその特長、企業からの医療提供者・患者サポート体制について調査しまとめた論文。
製品については、先行品を含め、世界で29製品が販売されているが、14製品について包括的な情報が収集された。製品特性は、企業の公式な製品情報文書と企業への問い合わせから情報を入手し、投与量、針の安全性、ニードルゲージ、デバイスの計上、使用期限、ラテックスフリー、クエン酸含有量などについてまとめている。なお、上市製品については、グローバル商品名により示されている。そのため、バイオシミラーの日本での上市4製品名は、Amgevita(アムジェン-第一三共)、 Yuflyma(セルトリオンー日本化薬)、 Hulio(協和キリン富士フイルムバイオロジクス)、Xelenka(LG Chem-持田?)と表記されている。また、詳細な情報が得られなかった15製品についても、その商品名が示されている。
医療提供者・患者サポートプログラムについては、オンラインポータル、患者トレーニングセッション、患者ヘルプホットライン、看護相談、心理的サポート、注射リマインダー、シャープス容器(adalimumab sharps container provision:使用済みデバイスの廃棄容器)、トラベルパックのそれぞれについて、調査各国についてまとめた。サポートプログラムについての調査対象国は、オーストラリア、カナダ、香港特別行政区、インド、日本、ポルトガル、シンガポール、英国、米国である。
日本に関する記載では、患者サポートは、ヒュミラ(先行品)のみが提供しているとしている。その他は、論文を参照されたい(サブスクリプション)。
坂巻コメント:余談ながら(でも重要)、バイオシミラーの商品名を「・・屋号」としたり、一般名を「・・後続n(番号)」などとしている国は日本だけである。結果的に、日本だけは、バイオシミラーは、制度上、「似て非なるもの」となっている(日本以外は、成分名は、基本的にどのバイオシミラーも同じだが、日本は品目ごとに別)。その結果、日本では、先行品・バイオシミラー間のスイッチも推奨できず、ジェネリック医薬品に対する先発品のように、先行品の選定療養制度の導入もできない。
ニュースソース
Tsz Hong Yiu (Department of Gastroenterology, The University of Sydney, Footscray, VIC, Australia), et al. : Adalimumab around the world: comparative analysis of products characteristics and patient support systems.
Therap Adv Gastroenterol. 2025 Oct 5:18:17562848251358168. doi: 10.1177/17562848251358168. eCollection 2025.
PMID: 41059275
PMCID: PMC12497974
DOI: 10.1177/17562848251358168 (オープンアクセス)
日本からの共著者は、仲瀬 裕志教授(副医学部長消化器病センター長、肝疾患センター長)