「癌と化学療法」2025年9月号掲載論文。著者所属は、横浜市大薬剤部。
バイオシミラー(BS)導入が抗CD20 抗体および抗VEGF抗体の使用状況に与えた影響を調査した論文。バイオシミラーに対する先行品だけでなく、同薬効医薬品の使用割合も検討している。以下は、著者抄録の抜粋。
方法:リツキシマブBS 導入前後の2017~2021 年における抗CD20 抗体の使用バイアル数と,ベバシズマブBS 導入前後の2018~2022 年における抗VEGF 抗体の使用バイアル数を調査した。数量シェアは使用したバイアル数を用いて算出し,医薬品費は各年の抗CD20 抗体および抗VEGF 抗体全体,各製剤の医薬品費を算出した。また,BS 導入による医薬品費削減率を求めるために実際の医薬品費を基に,すべて先行品を使用した場合の医薬品費で除した医薬品費削減率を算出した。さらに,施行1 回当たりの平均医薬品費の算出も実施した。
結果:抗CD20 抗体の2017~2021 年のシェアは,リツキシマブ先行品100.0% から0.0%,リツキシマブBS 0.0% から93.9%,オビヌツズマブは0.0% から6.1% と変化していた。BS による医薬品費削減率は,2021 年は22.9% であった。2017 年と比較した2021 年の施行1 回当たりの平均医薬品費は30.0% 増加していた。抗VEGF 抗体の2018~2022 年のシェアは,ベバシズマブ先行品89.5% から3.0%,ベバシズマブBS 0.0% から96.5%,ラムシルマブ6.4% から0.5%,アフリベルセプト・ベータは4.1% から0.0% と変化していた。BS による医薬品費削減率は,2022 年は64.7% であった。2018 年と比較した2022 年の施行1 回当たりの平均医薬品費は65.5% 減少していた。
ニュースソース
坂本 靖宜(横浜市立大学附属病院・薬剤部)、他:がん薬物療法においてバイオシミラー導入が同効薬の使用量および医薬品費に与える影響.
Jpn J Cancer Chemother 52(9): 671-676, September, 2025