【論文】肥満治療薬の現状と将来

JAMA Insights、2025年9月11日公開記事。

現在、米国内で利用可能な肥満治療薬には、グルカゴン様ペプチド-1受容体作動薬(Glucagon-Like Peptide-1 Receptor Agonist:GLP-1RA)や、グルコース依存性インスリン分泌促進ペプチド/GLP-1受容体作動薬複合(Glucose-Dependent Insulinotropic Peptide/GLP-1RA:GIP/GLP-1RA)があって、平均で体重を約15%から21%減少させる効果が報告されている。さらに、より強力な肥満薬が研究段階にあり、複数のホルモン受容体を同時に刺激する薬剤や、GLP-1とグルカゴン、あるいはアミリン(amylin)などを含む複合的な作用を持つものがある。例えば、
SurvodutideはGLP-1/グルカゴン受容体二重刺激薬で、46週で約14.9%の体重減少。

RetatrutideはGIP/GLP-1/グルカゴンの三重受容体刺激薬で、48週で約24.2%の体重減少

現在は、注射剤が主流だが、週1回・月1回投与できるものや、経口投与薬も検討中。例えば、GLP-1RAの非ペプチド(small-molecule)版であるOrforglipronは、36週で最大14.7%減量という予備データあり。

他にもmyostatinやactivin受容体経路を阻害する薬剤も研究中。これは筋肉を減らさず脂肪を減らすという目的で注目されており、たとえばBimagrumabはSemaglutideとの併用で、72週で約22.1%の体重減少を示し、その大部分が脂肪減少であったとされる。

現在の肥満治療薬が相当の減量と心代謝(cardiometabolic)改善、肝臓性脂肪症(hepatic steatosis)などの併存疾患の改善にも有効であることを示していて、将来薬剤の中には更に強力な減量効果とより広範な健康改善をもたらす可能性のあるものが多数ある。

 

ニュースソース

Robert F. Kushner (Departments of Medicine and Medical Education, Northwestern University Feinberg School of Medicine, Chicago), et al. : Current and Future Medications for Obesity Treatment.
JAMA Published Online: September 11, 2025 doi: 10.1001/jama.2025.13665

2025年9月17日
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