【論文】肥満と変形性膝関節症に対するチルゼパチドの費用対効果はセマグルチドより優れる

グルカゴン様ペプチド-1(Glucagon-like peptide-1:GLP-1)受容体作動薬であるティルゼパチドは、変形性膝関節症(osteoarthritis :OA)と肥満のある患者に対して、セマグルチドよりも費用対効果が高いとする論文。

膝関節OAは、米国では約3,000万人、世界では3億7,000万人が罹患している。肥満のある人では膝関節OAのリスクが高く、肥満のない人に比べて膝関節OAの診断が早く、重度の疼痛や機能制限を呈することが多い。膝関節症は糖尿病とも関連し、早期死亡のリスクを高める可能性がある。肥満と変形性膝関節症の患者は死亡率が高いが、これは全身の炎症状態、併存疾患、運動制限によるものと考えられる。

論文は、膝OAと肥満の費用対効果を評価するOsteoarthritis Policy Modeを作成し、患者の生涯における疾患の進行、治療効果、費用をシミュレーションした。その結果、チルゼパチドはセマグルチドと比較して優れた費用対効果を示し、1QALYあたりの基準額は57,400ドルであったとする(米国の費用対効果の閾値は、1QALYあたり10万ドル)。

 

ニュースソース

Betensky DJ, Smith KC, Katz JN, et al. The cost-effectiveness of semaglutide and tirzepatide for patients with knee osteoarthritis and obesity. Ann Intern Med. 2025(178):9 doi:10.7326/ANNALS-24-03609

2025年9月17日
このページの先頭へ戻る