Semaglutideを処方された患者において、心血管リスク因子と医療費がどのように変化するかを、実際の診療データから分析した研究。
- 研究対象は、米国の2つの大規模医療システム(Sentara Healthcare System と Yale New Haven Health System)で、2018年1月~2025年1月/5月までにsemaglutideを初めて処方された成人23,522人。うち6%が2型糖尿病(Type 2 Diabetes:T2D)を有していた。
- 主要結果として、処方から13~24か月後に、全体で体重が平均 -3.8% 減少。糖尿病がない人では -5.1% の減少と、より大きな減少が見られた。
- 血圧、総コレステロール、HbA₁cも改善が確認された。特に、糖尿病あり群では HbA₁c の改善が顕著。
- 医療費については、semaglutideの薬代を除いても、処方開始後13-24か月間で月あたり平均 80ドル(95%信頼区間:68~92ドル)の増加が見られた。入院費がこの増加の主な部分を占めていた。糖尿病の有無の両者で医療費の増加が観察された。
- Semaglutide開始は、体重の減少や心血管リスク因子の改善という臨床的利益が、実臨床でも見られる。ただし、その効果は臨床試験よりもやや小さい。療法の継続性(persistence)が低いことや使用者の特性の違いがその原因として挙げられている。
- 一方で、短〜中期では医療費が増えており、そのコスト上昇が臨床的便益をどこまで相殺するかは慎重な評価が必要。長期的には、入院の削減などでコスト削減が見込める可能性もあるが、本研究ではその証明はできていない。
ニュースソース
Yuan Lu (Section of Cardiovascular Medicine, Department of Internal Medicine, Yale School of Medicine, New Haven, Connecticut), et al. : Changes in Cardiovascular Risk Factors and Health Care Expenditures Among Patients Prescribed Semaglutide.
JAMA Netw Open, Published Online: August 8, 2025
2025;8;(8):e2526013. doi:10.1001/jamanetworkopen.2025.26013
2025年9月17日