FDAは、バイオシミラー開発における比較分析試験の設計と評価に関する推奨事項を示すガイダンスを更新

米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)は、2025年9月8日、バイオシミラー性を証明するための比較分析試験(comparative analytical studies)の設計と評価に関する推奨事項を記載したガイダンスを公表した。本ガイダンスは、2019年5月22日に発行された同タイトルのガイダンス案を最終化し、2015年4月30日に発行された最終ガイダンス「治療用タンパク質製品の参照製品に対するバイオシミラー性の実証における品質上の考慮事項Quality Considerations in Demonstrating Biosimilarity of a Therapeutic Protein Product to a Reference Product」に取って代わるものとされる。

以下は、ガイダンスの「GENERAL PRINCIPLES」部分の要約。

  • 分析技術の進歩と限界
    • 近年の分析科学の進歩により、タンパク質医薬品の物理化学的・生物学的特性や不純物を詳しく評価できるようになった。
    • ただし、すべての構造的・機能的差異を検出できるわけではなく、分析方法の限界を理解して設計する必要がある。
  • 比較分析データの役割
    • バイオシミラー申請には、参照製品との「高度な類似性」を示す分析データが必須。
    • 分析データは開発初期から揃えておくべきで、FDAとの早期の議論に役立つ。
    • このデータが後続の臨床試験の範囲や必要性に大きく影響する。
  • 分析の具体的な焦点
    • 物理化学的・機能的特性(構造・高次構造・翻訳後修飾・不純物・分解プロファイルなど)を徹底比較。
    • 製品の不均一性(heterogeneity)は自然発生するため、変異や翻訳後修飾を特定・定量化し、臨床性能への影響を評価する。
    • タンパク質の立体構造は機能に直結するため、高次構造の差異がある場合には機能試験で補完評価する必要がある。
  • バッチ(ロット)比較の重要性
    • 複数ロットの参照製品と複数ロットの開発品を比較し、製品内のばらつきを把握することが重要。
    • ロット間の変動を正しく評価することで、分析の受容基準を設定できる。
  • 臨床試験への橋渡し
    • 詳細な比較分析で差異を見つけた場合、その臨床的意義を科学的に説明する必要がある。
    • この比較結果が、臨床試験を「選択的・集中的」に実施する根拠となる。

ガイダンス文書のGENERAL PRINCIPLESの結論として;

提案製品(バイオシミラー)と参照製品の間で設計上導入された、または包括的分析特性解析で観察された差異の種類、性質、範囲は、明確に記述・議論されるべきである。この議論には、製品特性解析から得られた関連品質属性の同定と比較を含める必要がある。観察された構造的・機能的差異の潜在的な臨床的影響については、評価され、適切に正当化されるべきである。

 

また、同日、“Classification Categories for Certain Supplements Under BsUFA III -Guidance for Industry”も公開されている2)。

 

ニュースソース

  1. Food and Drug Administration: Development of Therapeutic Protein Biosimilars: Comparative Analytical Assessment and Other Quality-Related Considerations Guidance for Industry.
    https://www.fda.gov/regulatory-information/search-fda-guidance-documents/development-therapeutic-protein-biosimilars-comparative-analytical-assessment-and-other-quality
  2. Food and Drug Administration: Classification Categories for Certain Supplements Under BsUFA III.
    https://www.fda.gov/regulatory-information/search-fda-guidance-documents/classification-categories-certain-supplements-under-bsufa-iii?utm_medium=email&utm_source=govdelivery
2025年9月10日
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