JAMA Internal Medicine、2025年7月7日オンライン掲載(紙媒体は9月号)論文。
規制されていないカンナビジオール(cannabidiol:CBD)製品が消費者の間で広く使用されており、安全性に懸念が生じている。CBDに関する研究のほとんどは、処方されたCBDを服用する患者が使用する比較的高用量について研究されてきた。低用量での安全性に関するデータは限られていることから、CBDを1日2回4週間摂取した場合の肝臓と内分泌ホルモンへの影響を検討したとする。
結果は、健常人201人を対象としたこの無作為臨床試験では、CBD群では151人中8人、プラセボ群では50人中0人が、正常値上限の3倍を超える肝酵素値の上昇を認めた。内分泌ホルモンについては、CBD群とプラセボ群で差は認められなかった。
本研究論文について、JAMA同号で「カンナビジオールと肝酵素に関する懸念の高まり」とする社説を掲載している。社説では、論文において以下の4点を考慮すべきとしている。
- ポイント1:肝機能検査とCBDの使用について
CBD(カンナビジオール)は肝臓に毒性を持つ可能性があり、多くの人が日常的に使用していることから、医師は患者の肝機能検査を行う際、CBDの使用を考慮に入れるべきである。特に、健康な人でも肝酵素レベルがわずかに高いことは珍しくなく、医師が肝炎などを疑って検査する場合でも、CBDの使用が原因である可能性を見落とすことがある。
- ポイント2:研究の対象者と一般化の限界
Florian et al.による研究は健康な若年者を対象としており、他の肝毒性のある薬を服用している人や、肝臓に基礎疾患のある人など、よりリスクの高い人々には当てはまらない。高齢者や複数の薬を服用している人々はCBDの主要な使用者層であり、今後の研究では、これらの層を含むように対象を広げる必要がある。
- ポイント3:長期的な安全性に関する不明点
研究は28日間という短期間に限られており、1ヶ月を超えた長期的な安全性についてはほとんど分かっていない。過去の研究では、CBDの使用開始から30日以上経ってから肝臓への毒性影響が検出されたケースも報告されており、長期使用のリスクをさらに調査する必要がある。
- ポイント4:CBD使用の中止と肝酵素レベルの関連性
研究ではCBDの使用を中止した後に肝酵素レベルが正常に戻ったが、CBDによる肝臓への影響が必ずしも一時的で良性であるとは限らない。多くのCBD使用者は、肝酵素レベルの上昇に気づかなかったり、上昇しているにもかかわらず使用を続けたりする可能性があり、このような慢性的な使用は、より深刻な肝臓の疾患につながる可能性がある。
(坂巻コメント:。なんといいタイミングで?CBDが違法ではないにしても、精神に作用するようなサプリを服用しなければならない人間が企業トップでいいのかな?)
ニュースソース
- Jeffry Florian (Division of Applied Regulatory Science, Office of Clinical Pharmacology, Office of Translational Sciences, Center for Drug Evaluation and Research, US Food and Drug Administration, Silver Spring, Maryland), et al.: Cannabidiol and Liver Enzyme Level Elevations in Healthy Adults- A Randomized Clinical Trial.
JAMA Intern Med., Published Online: July 7, 2025, 2025;185;(9):1070-1078. doi:10.1001/jamainternmed.2025.2366(オープンアクセス) - Nathan M. Stall (Editorial Fellow, JAMA Internal Medicine), et al.: Editorial – Elevated Concerns About Cannabidiol and Liver Enzymes.
JAMA Intern Med., Published Online: July 7, 2025, 2025;185;(9):1067-1068. doi:10.1001/jamainternmed.2025.2363(オープンアクセス)