STAT、2025年8月20日記事。米国の雇用主は、来年の従業員向け医療保険費用の急増に直面している。Business Group on Health の調査によれば、2025年の医療費は中央値で9%上昇する見込みであり、これは2024年の7.5%、2023年の6.8%からさらに上昇した数値である。要因としては、GLP-1受容体作動薬(肥満・糖尿病治療薬)、がん治療、メンタルヘルス関連の支出増加が挙げられるとする。
記事の主なポイント
- GLP-1薬の影響
- Wegovy、Ozempic、Zepbound、Mounjaro などの使用が急増。
- 99%の雇用主が糖尿病での使用をカバー、73%が肥満での使用をカバー。
- 肥満適応のカバーを取りやめたのは6%のみ。
- 多くの雇用主が利用制限を強化(事前承認、体重管理プログラム参加など)。
- がん治療費の増大
- 4年連続で最大のコスト要因。
- 雇用主の90%近くが「最も費用のかかる疾患トップ3」にがんを挙げる。
- 2026年までに約半数が「センター・オブ・エクセレンス(高品質・低コストの専門施設)」への誘導を予定。
- メンタルヘルスの需要増
- 約4分の3の雇用主が従業員による精神疾患・依存症治療の利用増を確認。
- さらに17%が今後の増加を予想。
- 女性の健康支援拡大
- 2025年には58%の雇用主が予防医療を拡充(2年で22ポイント増)。
- 更年期支援サービスは2024年の28%から2025年には60%に拡大。
- 2026年までに、ドゥーラ支援(36%)、産後うつ治療支援(55%)、高リスク妊娠支援(43%)をカバー予定。
- その他の傾向
- 糖尿病・筋骨格系・心血管疾患の割合はわずかに低下。
- 高額療法、医療提供体制の分断、低品質な医療提供者、詐欺や浪費もコスト要因として認識されている。
含意
- 雇用主は依然として医療費の大部分(90%以上)を負担し、従業員への負担転嫁は「応急処置」に過ぎないとされる。
- 医療費増大は保険料や自己負担増に直結しない場合でも、賃金上昇の抑制要因となる。
- 今後は、保険会社や外部ベンダーへの監視強化や、サービス提供の代替策模索が進むとみられる。
2025年8月21日