英国Specialist Pharmacy Service(SPS)2025年8月12日掲載。異なるメーカーの抗けいれん薬を切替えるには、それが適切かどうかを個別に評価し、慎重に検討する必要があるとする。
てんかんの抗てんかん薬のブランドとジェネリックの切替え
Switching brand and generic anti-seizure medicines for epilepsy
(重要な注意:英国の情報であり、日本とは異なる。あくまでも先発・ジェネリック間の切替えに関して、英国保健当局がどのようなメッセージを発出しているかの参考。また記事の一部を抜粋している。)
切替えの理由
多くの抗てんかん薬(anti-seizure medicines:ASM)は複数のメーカーから発売されており、その結果、ジェネリック医薬品とブランド医薬品が幅広く市場に出回っている。また、ジェネリック医薬品だけでなく、複数のブランドが存在するものもある。
あるメーカーの製品から別のメーカーの製品に切替える理由には、次のようなものがある:
- コスト削減
- 供給可能性
- 個人の嗜好や不耐性
切替え時のリスク
ジェネリック医薬品は、先発品と同等の厳しい基準を満たす必要があるが、先発品とジェネリック医薬品の切替えのリスクに関するエビデンスは限られている。非常に敏感なてんかん患者の中には、切替え後に発作のコントロールや副作用が変化する可能性がある。これは、先発品と後発品の間、あるいは同じASMの異なるメーカーの後発品同士の間で起こりうる。この懸念は、特定のASM、特に徐放性製剤でより大きくなる。
神経障害性疼痛や気分障害など、てんかん以外の適応症にASMを使用する場合、切替えは通常問題にならない。
臨床的、物流的、経済的に大きなメリットがある場合にのみ、切替えを検討する。患者が体調不良であったり、感染症にかかっている場合は、回復するまで切替えを延期することを検討する。
発作コントロール喪失のリスクを軽減するために、他のメーカーの製品に切替えるかどうかを判断する際には、以下のアドバイスに従うこと。
切替え時のリスクに応じたASMの分類
医薬品委員会(Commission on Human Medicines:CHM)は、ASMをその特性に基づいて3つのリスクカテゴリーに分類している: 治療指数、溶解度、吸収性である。これらのリスク分類は、処方者やてんかん患者さんが特定のメーカーの製品の継続が必要かどうかを判断するのに役立つ。
カテゴリー1:切替えを避ける
以下は同じメーカーの製品で維持すること:
- carbamazepine
- phenobarbital
- phenytoin
- primidone
メーカーの欠品など、製品の切替えを検討することが適切と思われる酌量の余地のある状況があるかもしれない。
カテゴリー2:切替え注意
臨床的な判断に基づき、本人やその介護者と相談しながら、特定のメーカーの製品を使い続ける必要性があるかどうかを判断する。切替えの前に、発作コントロール喪失のリスクを軽減し、他のメーカーの製品の受容性を向上させるために考慮すべき点がある。
- clobazam
- clonazepam
- eslicarbazepine
- lamotrigine
- oxcarbazepine
- perampanel
- retigabine
- rufinamide
- topiramate
- valproate
- zonisamide
カテゴリー3:通常、切替えは可能
異なるメーカーの製品間に臨床的に重要な違いが存在する可能性は極めて低いため、切替えは一般的に安全である。このカテゴリーでは、特定のメーカーの製品で 維持されていることを確認する必要はない。切替える前に考慮すべき点がまだあるため、ケースバイケースで個人を評価すること。
- brivaracetam
- ethosuximide
- gabapentin
- lacosamide
- levetiracetam
- pregabalin
- tiagabine
- vigabatrin
ニュースソース
Specialist Pharmacy Service:Switching brand and generic anti-seizure medicines for epilepsy.
https://www.sps.nhs.uk/articles/switching-brand-and-generic-anti-seizure-medicines-for-epilepsy/