国際幹細胞学会(International Society for Stem Cell Research:ISSCR、会長は慶応義塾大学医学部の岡野 栄之教授)は、2025年8月11日、幹細胞から作製される胚モデル(初期発生の一部を模倣する構造)について、新たな倫理・科学ガイドラインを発表した。主な内容は以下の通り。
主な禁止事項
- ヒトや動物への妊娠開始目的での移植禁止
- 人工子宮などで生存可能な段階まで培養することの禁止
- 研究以外の商業・生殖目的利用の禁止
背景と変更点
- 近年、非統合型モデルでも改良により高度な発生段階に到達しうることが判明し、既存の「統合型/非統合型」分類は不適切となったため全モデルを規制対象とした。
- 技術進歩や人工子宮研究の進展を踏まえ、将来起こりうる科学的展開に先んじて規制を整備。
倫理的・社会的意義
- 胚モデルは不妊症研究や妊娠初期薬剤影響評価などに有用だが、生命倫理上の懸念が大きく、実胚同様の厳格な審査を必要とする。
- 国際的な規範として各国の法制度整備の指針となり、特に米国のような法的定義が曖昧な国では重要な基準となる。
- 英国では既にコード・オブ・プラクティスや監督委員会設置提案など先進的な枠組みが進んでいる。
ニュースソース
International Society for Stem Cell Research: Guidelines for Stem Cell Research and Clinical Translation. https://www.isscr.org/guidelines
2025年8月13日