Samsung Bioepisは、2025年7月14日に「Solving the Biosimilar Void in Europe」と題したホワイトペーパーを公開した。そのなかで、欧州におけるバイオシミラー(生物学的類似薬)の普及と市場持続性を妨げる政策上の課題を指摘し、具体的かつ実効性のある改善策を提案している
主な内容と提言のポイントは以下の通り。
背景と意義
バイオシミラーは欧州において2013年から2024年にかけて累計560億ユーロの医療費削減に寄与している。2024年だけでも約60億ユーロにのぼる。しかし現在の欧州の政策環境(特に上市後プロセス)は、市場競争を促進するには不整合であり、多くのバイオ医薬品が独占期間終了後も後続薬が登場せず、いわゆる「バイオシミラー・ボイド(欠損地帯)」を生んでいる。
提案されている政策改善策
- HTA(医療技術評価)の柔軟化・簡素化
バイオシミラー特有の利点を考慮した簡略化された評価プロセス(例:HTA免除、適応外使用の拡大、暫定償還など)を設ける。 - 価格・償還政策の見直し
過度な価格引き下げや画一的割引を避け、市場競争に委ねた自由な価格形成を認めるようにする。 - 入札制度の透明化と多様化
単一落札者に偏らない多者入札制度や、供給の安定性を重視した評価軸、定期的な再入札などを通じて健全な競争を促す。 - 医療従事者へのインセンティブ拡充と教育
処方・調剤を行う医師や薬剤師に対し、利益共有型インセンティブや患者との合意形成を促す仕組みを設けるとともに、バイオシミラーへの理解促進のための教育を強化する。
ニュースソース
BioSpace: Samsung Bioepis’ European Whitepaper Proposes Solutions to Bridge Policy Gaps that Hinder Healthy Market Competition and Timely Access to Biosimilar Medicines.
https://www.biospace.com/press-releases/samsung-bioepis-european-whitepaper-proposes-solutions-to-bridge-policy-gaps-that-hinder-healthy-market-competition-and-timely-access-to-biosimilar-medicines?utm_source=chatgpt.com