Pharmaceutical Technology、2025年8月5日記事より。イングランドは、世界で初めてとなる淋菌感染症に対するワクチン接種プログラムを開始した。本プログラムでは、GSK社製の4CMenBワクチンが使用され、性感染症(STI)の高リスク層に対して無償で提供される。
対象となるのは、以下の条件を満たす者である:
- 男性間性交渉を有する者(MSM:Men who have Sex with Men)のうち、
- 最近12か月以内に複数の性的パートナーとの接触歴がある者
- または、細菌性STIの既往歴がある者
本プログラムにより、最大10万件の淋病症例が予防される可能性がある。また、これにより今後10年間で790万ポンド超のNHS予算が節減される見込みである。近年、英国における淋病の罹患数は急増しており、2023年には過去最多となる約85,000件が報告されている。これは2012年比で3倍に相当する。増加要因の一つには、抗菌薬耐性を有する淋菌株の拡大が挙げられており、本ワクチンの使用はこの課題への対応策としても期待されている。
4CMenBワクチンは、もともと髄膜炎菌B型感染症に対する予防を目的に開発されたものであり、2013年に欧州で承認され、2015年から英国の定期小児予防接種プログラムに組み込まれている。
近年、4CMenBが淋病予防にも有効である可能性を示唆するエビデンスが報告されており、これを受けて英国予防接種・免疫合同委員会(Joint Committee on Vaccination and Immunisation:JCVI)は2023年末に検討を実施した。免疫原性データおよび費用対効果モデルに基づき、高リスク群に限定した接種プログラムの実施が勧告された。なお、現時点では淋病予防は4CMenBの承認適応には含まれておらず、オフラベル使用として実施される。
ニュースソース
Pharmaceutical Technology: GSK’s world-first gonorrhoea vaccine launched in England. (by Robert Barrie August 05 2025)
https://www.pharmaceutical-technology.com/newsletters/gsks-world-first-gonorrhoea-vaccine-launched-in-england/?_hsenc=p2ANqtz-9Z-wxVj1PjEYtQPwim0uo4EwJRXUV8XTaWmEDzcV1FoowAHOA-sBL5tmabwxwVqPGYfbBEBlmnsflVtlXWUiAoFA4MWuIYGcf9EbdUKLen92ivLuk&_hsmi=114731870&utm_campaign=type3_Pharmaceutical%20Technology-market&utm_medium=email&utm_content=Other_Daily_News_Articles&utm_source=email_NS&cf-view