【論文】エタネルセプトバイオシミラー導入前後の治療継続性

Pharmaceut Med、2025年7月17日公開論文。エタネルセプトの関節リウマチ(RA)に対するバイオシミラーの公的助成開始の前後における治療継続性を評価することを目的。オーストラリア統計局DataLabを通じてPharmaceutical Benefits Scheme(PBS)の全国医療費請求データを分析したレトロスペクティブコホート研究。

重度のRAに対してエタネルセプトの投与を開始した成人(18歳以上)を、ヒストリカルコホート(バイオシミラーPBS収載前、先行品使用患者のみで構成)とコンテンポラリーコホート(バイオシミラーPBS収載後、バイオシミラーと先行品の両方の患者で構成)の2つのコホートに層別化した。 治療継続性の評価には、カプラン・マイヤー解析と多変量Cox回帰を用いた。 高齢者のサブグループ解析と生物学的製剤未使用者に限定した感度解析も行った。

重症RAに対してエタネルセプトの投与を開始した計10,234人が対象となり,ヒストリカルコホート4461人,コンテンポラリーコホート5773人であった。 治療中止までの期間中央値は、コンテンポラリーコホートでは10.0ヵ月(95%信頼区間(CI)9.7-10.6)、ヒストリカルコホートでは10.6ヵ月(95%CI10.0-11.4)であった(p = 0.08)。 12ヵ月時と24ヵ月時の治療継続率はコホート間で同程度であった。 コンテンポラリーコホートにおける治療中止の調整ハザード比は1.00(95%CI 0.96-1.05)であり、有意差はなかった。 サブグループ解析と感度解析でも同様の結果が得られた。

(坂巻コメント:論文の結論として、「さらなる研究として、長期的な治療戦略、臨床医の信頼、持続可能な医療政策に情報を提供するために、先発品とバイオシミラーの直接的な比較分析を行うべきである。」とあるが、バイオシミラー有効性・安全性評価の世界的な流れからすると不要な意見。)

 

ニュースソース

Chin Hang Yiu(The University of Sydney School of Pharmacy, Camperdown, NSW, Australia), et al. : Treatment Persistence in Rheumatoid Arthritis Before and After Etanercept Biosimilar Introduction: A Nationwide Australian Real-World Study.
Pharmaceut Med. 2025 Jul 16.  doi: 10.1007/s40290-025-00577-8. Online ahead of print.

https://link.springer.com/article/10.1007/s40290-025-00577-8#Sec3 (オープンアクセス)

 

2025年7月23日
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