【IQVIAレポート】2029年までの医薬品使用の世界的展望

IQVIA、2025年6月26日公開レポート。以下はホームページによる調査結果の要旨。

主な調査結果:
  • 過去5年間において、合計394の新規有効成分(NAS)が世界で上市されたが、地域別には上市数が少ない傾向がある。
  • 2024年には78のNASが世界で上市され、5年間の合計は394に達した。後期開発段階のパイプラインおよび過去の成功率に基づけば、今後5年間で年間平均65〜75のNASが上市されると予想され、全体で325〜375の新規成分が追加される見通しである。
  • 米国では2024年に48のNASが上市され、5年間の合計は273に達し、2015~2019年と比較して2020~2024年の上市数は22%増加した。
  • EU主要4カ国(フランス、ドイツ、イタリア、スペイン)および英国では2024年に43のNASが上市され、前年から39%増加し、5年間の合計は209に達した。これは前の5年間から31の増加であるが、米国より64少ない。
  • 一人当たりの医薬品使用量は地域によって大きく異なり、日本および西ヨーロッパは他地域の倍以上である。
  • 人口で調整した医薬品使用量の世界的な成長率は今後5年間で年平均成長率(CAGR)0.0%と予測されており、人口で未調整の0.8%と比べ、成長は人口動態に依存していることが示されている。
  • 北米における一人当たりの使用量は過去5年間で年1.2%成長しており、今後は0.4%成長と予測されている。
  • 中国は一人当たりの成長率が最も高く、過去5年の4.4%から今後は1.8%に減速するが、引き続き上昇傾向である。
世界的成長と市場動向:
  • 世界的な医薬品支出の増加は今後5年間で加速する見込みであり、主に既存ブランド医薬品の寄与によって牽引される。
  • 主要先進国10市場における新規ブランド医薬品は、今後5年間で1,810億ドルの成長に寄与すると見込まれており、これは過去5年間よりも40億ドル多い。
  • 特許切れ(LOE)による影響は2,200億ドルに達し、過去と比較して3倍以上に拡大する見込みである。この大部分はバイオ医薬品とバイオシミラーに起因し、その影響の不確実性が依然として存在している。
  • 地域ごとに支出と使用量の成長傾向は分岐しており、一部は使用量主導、他は革新的治療の採用による。
  • 北米、欧州、アジア太平洋、インド、ラテンアメリカ、中東・アフリカの各地域では、支出成長が30%以上になると予測されており、これは人口動態による成長と高価な治療へのシフトの両方を示している。
  • 世界第2位の医薬品市場である中国では、今後5年間で使用量が8%、支出が15%増加すると予測されているが、過去の成長率と比較して抑制されており、国家医療保険薬品リスト(NRDL)による新薬アクセス拡大の継続が背景にある。
疾患領域別の展望:
  • がん(腫瘍)および肥満関連医薬品が今後の成長を主導する一方、免疫疾患および糖尿病治療薬の成長は鈍化すると予測されている。
  • 今後5年間の成長への最大の貢献は、腫瘍、免疫疾患、糖尿病、肥満治療薬であり、革新的な製品の継続的な導入と特許切れの影響によるものである。
  • 多くの治療領域では、過去5年間よりも成長率が鈍化すると見込まれる。
  • 脂質調節薬は、主要製品の特許切れ以降、長期にわたり減少傾向にあったが、一部の患者に対する新たな治療法の登場により、成長軌道に戻ると期待されている。

 

ニュースソース

IQVIA:The Global Use of Medicines Outlook Through 2029.
https://www.iqvia.com/insights/the-iqvia-institute/reports-and-publications/reports/the-global-use-of-medicines-outlook-through-2029

2025年7月16日
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